「皿男/電話の幽霊」他

 私は家具のすべて運び出された何もない部屋に一人で座っていたが他に誰かいるような気もしていた。部屋の隅にひとところ絨毯の色の変わった部分があって、私はその上で、ここに確かにベッドがあったのだ、私たちはいつもここで眠ったのだ。
 不思議なことだ。居間で電話が鳴ったような気がしたが電話機などどこにもない。私はそこで聞く者もないまま一人で話し続け、いつか泣き出してさえいるようだった。


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