生徒の母親は夫を亡くして久しい。 夏休みに教師と三人で校庭に入り、教師は自転車に乗り、母親は陽傘をさして、強い陽光に頬が白く光る。 教師は自転車に跨ったまま懐から硝子瓶を取り出して中の黄色い粉をハンカチに取り、少しずつ抓んでは顔に塗る。麻薬だ。五十を過ぎてまだ悪習が抜けない。母親はベンチに腰を下ろし、柄を持った左手を少し動かしてから、子供の名を呼んだ。