十時に目が覚めて、居間に降りると電話が鳴る。 「あんたのお母さんを出して下さい」空電がひどい。 「母親は三年前に死にました。ばばあの友達か?」 「今朝方大きな音で目が覚めて、地図を見たら、路上のこことこことここと、三箇所で花火が上がってるんです。学校にやった子供が心配で心配で、きっとあんたのお母さんと一緒なんだよ」 受話器を頚にあてたまま手を伸ばして増幅機のスイッチを入れ、スピーカに繋ぐ。