中にはいると、お料理をいっぱい作っていた。まるで、どこかの宴会のよう‥‥‥‥

カウンターの中でせわしく調理している人がいる。でも、誰だろう、おじいちゃんの知り合いかなぁ?

それにしても、なんで私たちここにきたんだろう。碇くんのお父さんもいるし。

 

 

 

 

 

 となりのトリオ  Walking:05  全員集合!


 

 

 

 

 

 

 

「ユイくん、もうそろそろ君もあがったらどうだい。みんなそろってきてるようだし」

「わかりました。でもこれだけ終えてからにしますわ」

 

私たちは店の中に入ったものの、この状況を理解することができず入り口で棒立ちのままだった。

『ガラガラガラ‥‥』

「こんにちは」
「冬月センセイ、こんにちは」
「こんにちは、お招きどうもありがとうございます」

聞き慣れた声に振り向くとヒカリ達だった。そういえば、葛城先生そんなこと言ってたっけ。

「なんや、綾波弐号、そんなとこでぼーっとしとらんと座ったらどうなんや」

鈴原君に言われて辺りを見回した。そばにいたお姉ちゃんと碇くんはいなくなっていた。

店内を見回すと、お姉ちゃんは、もう奥の席に座っている。それに、それに‥‥‥‥碇くんも一緒に!

「鈴原くんの言うとおりだよ。する事ないなら手伝っておくれ」

「えっ、うん」

私は碇くんのとこに行きたかったけど‥‥‥‥‥まっ、お姉ちゃんと一緒なら大丈夫よね。

カウンターに並べてあるお料理をおくの和室の方へ運んでいった。

碇くん、お姉ちゃんに何か話しかけてる。何話してんだろう。

 


 

「何?」

「えっ、いや別に何もないんだけど‥‥‥」

僕は、となりに座っている綾波メイの表情に惹かれていた。

レイとはひと味違う神秘的な美しさに‥‥‥

レイと同じ紅い瞳、蒼い髪なのにどうしてここまで違って感じるんだろう。

レイの紅い瞳は心持ち薄く感じる。対照的にメイは透き通った深紅の瞳だ。

それに気を取られてじっとみてたら、綾波メイが声をかけてきた。

少しびっくりした。初めてあったときから無口であまり口を開かなかったのに急に面と向かって話しかけられたから。

「あっ、あの綾波。これから君のことは綾波って呼んでいい?」

「‥‥どうして?」

「どうしてって、なんかその方が君に似合うかなって思ったから」

「そう、かまわないわ」

「ありがとう、これから妹さんの方はレイって呼ぶから」

「ええ」

僕はなんだか嬉しくなってきた。苦労していた数列の問題が急に解けた時のように。

しばらくその余韻に浸っているとみんなこっちへあがって来たので話しかけるのをやめた。

   『綾波メイ』か‥‥‥‥‥

 


 

「ええー、それではこの不肖鈴原トウジが碇家引っ越し祝いの乾杯の音頭をとらしていただきます」

そっか、そういうことだったんだ。

私は鈴原くんの一言ですべてがわかった。

みんな、グラスをとった。もちろん私たちはジュースだけど。

「かんぱーい」

「かんぱーい」

すると、さっきお料理してた人が立ち上がった。さっきも思ったんだけど、すごくきれいな人なの。

「この度は私たちのためにこんなにも盛大なパーティーを開いて下さり本当にありがとうございました。申し遅れましたが、私、シンジの母親の碇ユイです。よろしくおねがいしますね」

へぇー、あの人碇くんのお母さんだったんだ。あっ、碇くんやおじさんも自己紹介するみたい。

ユイさんにせかされて二人とも渋々立ち上がる。

「初めまして、碇シンジです。よろしくお願いします」

「シンジの父親の碇ゲンドウだ」

「あなたたち、それだけなの?」

「うん」

「ああ、問題ない」

「問題ないって、はぁ〜〜。この二人はいつもこういう具合ですがよろしくね。私は英語の教師で、この度シンジの通う学校へ赴任することになったの。みんなと会う機会はたくさんあると思います」

「ええー、わいは鈴原トウジといいます。シンジゆーたな、よろしゅうたのむわ」

「私は、クラス委員長の洞木ヒカリといいます。レイやメイの親友ですのでよろしくね」

「ぼくは、相田ケンスケといいます。趣味は見ての通り写真撮影です」

「私は、もういいわね。それじゃぁ、記念撮影でもしない?」

「そうね、じゃぁみなさん撮りましょうか」

葛城先生の言葉で相田くんが立ち上がった。カメラをこっちに向けて構えている。

 


 

写真を撮ったあと、私たちはお料理を頂いた。これがとってもおいしいの。

普段食べてるおじいちゃんのとは、またひと味違ってて。

それにしても、碇くんとおじさんて似てるな。挨拶の仕方といい、その内容といい。やっぱり親子なんだなぁ‥‥‥

碇くんは‥‥‥ああ、鈴原くん達にからまれてるみたい。それに、ヒカリはちゃっかり鈴原くんの隣の席をキープしてるし。

葛城先生は‥‥‥‥いつものこととして、それより学校の方はどうなったんだろう。こんな時間から飲んじゃって、いいのかなぁ‥‥‥

まっ、先生が二人もここにいるみたいだから大丈夫なんだろうけど。

 

お隣さんか‥‥‥

これから、一緒に学校いけるわね。

鈴原くんとヒカリのように‥‥‥‥

う〜〜ん、なんか楽しみだな。

 

あっ、そういえば帽子まだ返してもらってなかった‥‥‥

 


 

「なぁ、シンジ。おまえと綾波弐号はどういう関係なんや」

「えっ、どういう関係って‥‥‥‥」

「そうだよ、これは重要な問題なんだ。これからの売れ行きに作用するからな」

「別に、何でもないよ」

「そうか、まぁええわ。とにかくこれからよろしゅう頼むわ。わいのことはトウジでええから」

「うん、わかたよ、トウジ」

「僕のこともケンスケでいいから。よろしく、シンジ。それにしてもきれいな人だね」

「えっ、誰が?」

「決まっとるやないか。おまえの母親、ユイさんやったか?えらい別嬪やなぁ。あれで子持ちとはとうてい思えんわ」

「そうかなぁ‥‥」

「す〜ず〜は〜ら〜〜〜」

「なんや、委員長。そんな顔して」

「べ、別に何もないわ‥‥‥」

「そうか、ならええけど」

 

 

こうして、夜まで延々とこの宴会は続いていった。

酔った葛城先生に無理矢理飲まされて‥‥‥‥

私も、碇くんも‥‥‥

でも、ちょっぴりいい気分。

葛城先生がお酒好きなのわかる気がする‥‥‥

大人の味かな〜〜

 


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