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イエローキャブはいかしたパキスタン人

遠くまで行きすぎた、帰ろうにもまだセントラルパークにも着いていない。 外はどんどん暗くなってくる。しかももう、歩きすぎでへとへとだ。 Dr.Dincsoyの「ベリーデンジャラス」が頭にこだまする。急に不安になってき た。ふと見ると、イエローキャブが止まっている。乗ろうかどうか非常に悩む。 地下鉄に乗ろうかとも思ったのだけど、真夜中のNYの地下鉄ってだけで、タク シーよりやばそうだ。全然そんなことはなかったのだけど、このときはそう思っ た。日本人観光客は、タクシーで料金ごまかされたりだまされやすいと言うの はどんなWEBでも本でも雑誌でも読んだ。しかも、夜。しかし、もう限界点突 破。窓ガラスを叩いた。

自分 :「ハイ!OK?」
運転手:「yes,sir」

自動ドアじゃないのはわかってたので、後ろのドアを手で開けて乗り込む。

自分  :「アー・・・、アイドライクトゥーゴーワンゼロシックスダブリューイレブン
         」

伝わんないので5、6回は言った。

運転手:「イレブンストリート?OK。」
自分  :「(ん?通じたんだろうか・・・?)」

かくしてイエローキャブは走り出した。しかし、暫くして方向が全く逆な 事に気が着いた。「日本人観光客は、タクシーで料金ごまかされたり・・」の くだりが頭を掛めぐる。声をかけようと思ったのだけど、躊躇してしまう。し ばらくして、車が止まった。

運転手:「イレブンストリートまできたぞ、ここのどこだ?」
自分  :「ノーノーwrong。アイドライクトゥーゴーワンゼロシックスダブリューイレブ
          ン、ニアーコロンビアユニバーシティ、セントラルパークウエスト」
運転手:「それはストリートなのか?」

そう、マンハッタンの道路は、南北にアベニュー、東西にストリートと言 う名前が付いている。良く言う5番街っていうのは5th Avenueのことだ。ウォー ル街はWall Street。それはわかっていたのだけど、106W 11と覚えていて、どっ ちがストリートなのか自分でもわかっていなかった。しばらく何回も言ってる うちに、さっき、乗ろうと思って乗らなかった地下鉄の入口で取った路線マッ プを思い出した。案の定、ばっちり地図になっている。

自分  :「ヒアヒア、ワンゼロシックスダブリューイレブン」
運転手:「オゥ!ワンゼロシックスダブリューストリート!ハッハッハ」

遂に通じた。今度は順調に車は北に向けて走り出した。説明のしかたが悪 かったのに、運転手を疑った自分を戒めた。

運転手:「どっから来たんだ?」
自分  :「ジャパンだ」
運転手:「そうかそうか、学生か?」
自分  :「そうだ、ユニバーシティスチューデントだ」
運転手:「ジャパニーズレストランがいっぱいあっただろ?」
自分  :「yea!あった」
運転手:「ニューヨークは気に入ったか?」
自分  :「(思いっきり)イェー!!」
運転手:「じゃぁ、住めよ!俺がいいジャパニーズレストランを紹介してやるよ、そこ
          で働けばいい」
一瞬、なんて事言うんだと思った。なんでユニバーシティスチューデントがジャ パニーズレストランを就職先になんてとこの瞬間は正直そう思った。
自分  :「ウーン、でも英語の自信ないよ」
運転手:「ジャパニーズも英語勉強するのか?」
自分  :「サムカリキュラム・・・」

いくつかの授業は取ってると言いたかったのだけど、

運転手:「そうかそうか、取ってる奴も居るけど、お前は取ってないんだ」

もう、そういうことにしておいた方が、英語の能力からいっても妥当な気 がしたのでそのままにしておいた。まさか10年以上英語の授業受けてるなん て言えない。

運転手:「俺はパキスタンから来たんだ、お前パキスタン知ってるか?」
自分  :「yesyes、アイノウパキスタン。ニアーインディア」
運転手:「(嬉しそうに)そうだ、ネイバーインディアだ。俺が日本に行ったら、稼げる
          かな?」
自分  :「ウーン、日本でフォーリナーが働くのはベリーハードなことなんだ。」
運転手:「そうなのか・・・。」

暫く車は走る

運転手:「そうだ、お前彼女居るのか?」

・・・痛

自分  :「ガール?・・・ハッハッハ・・・・ァ・・・・・前に別れた」
運転手:「ハッハッハ、ニューヨークにはlots ofクラクラきちゃういい女がいるぞ。
          おっ、、あそこにいい女が歩いてるぞ、あの女なんかどうだ??」

いきなり車のスピードを落す。ちょっとドキッとする。運転手は暫く眺め て、またスピードを上げた。

自分  :「ハッハッハ」
運転手:「イェ〜。」

運転手:「お前の泊まってるホテルは何ドルだ?」
自分  :「29ドル」
運転手:「29ドル??まさか。マンハッタンはめちゃくちゃホテル代高いんだぞ、な
          んて名前なんだ?」
自分  :「ホテルじゃない、ホステルだ。Jazz on the park Hostel」
運転手:「どんなところか俺も見たい、○▲■凸凹・・・」

そうこうしているうちに、無事帰りつく。料金を払おうとして、とっさに チップを思い出した。いい人で本当に助かった。マジでチップ払ってもいいと 思った。

自分  :「親切にどうもありがとう」

別にチップを渡すと、満面の笑みで受け取ってくれた。 そのままついて来て、ホステルのカウンターでいろいろ聞いている。この運転手、良く 聞くと滅茶苦茶な英語だ。それでも、スムースにコミュニケーションを取っている。日 本の英語教育って一体なんなんだと思わずには居られなかった。

何日もたって、いいジャパニーズレストランを紹介してやるよ、そういっ てくれた言葉がずっと胸に残った。今まで、変に将来について凝り固まった思 考になっていた自分に気がついた。rawな自分を必要として受け入れてくれ る人がいて、場所がある。それだけで十分じゃないか。それって自分が自分と して生きる為の大きな理由になる。自分を偽って組織のの歯車として生きるよ りも何倍も素敵な事じゃないか。


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YASUHIRO HARADA
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