ぬかる民の

ちょっと地理学講座


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第3回:ヨーロッパの農業の歴史洋食文化の関係

ヨーロッパの農業の歴史

・第1段階:
単圃式農業=最も原始的な農業のやりかた。焼畑農業と同じく、
2〜3年で地力が衰えると、農地を放棄し、別の場所へ移動する。つまり定住できない。
┌───────┐         
| v    v    |
|     v      |
| v     v   |→2〜3年→別の土地を開墾→これの繰り返し   
|    v       |
| v     v    |
└───────┘
・第2段階:
二圃式農業=畑を二等分し、耕作地と休閑地を毎年交互に入れかえる。
→ヨーロッパの
輪作のはじまり。
長所:土地が半永久的に使用できる→
定住可能→自分の土地、財産の発生、貧富の差の発生。
短所:土地の半分の面積からしか収入が入らない。
┌───┬───┐  ┌───┬───┐       
| v    |  休  |   | 休   |   v  |   
|      |     |  |      |     |
| v    |  閑  |→ | 閑   |  v   |  
|     |      |  |     |      |
| v    |  地   |  | 地   |   v   |
└───┴───┘  └───┴───┘
   1年目            2年目
    ↑               |
    └──────────┘
・第3段階:
三圃式農業=夏作地、冬作地、休閑地に畑を三等分し、三年輪作で交互に入れ替えてゆく。
長所:作物の種類が増える。二圃式農業より収入が増加。
短所:土地の三分の二の面積からしか収入が入らない。
┌──┬──┬──┐  ┌──┬──┬──┐  ┌──┬──┬──┐
| 夏 | 冬 | 休 |  | 休 | 夏 | 冬 |  | 冬 | 休 | 夏 |
|   |   |   |  |   |   |   |  |   |   |   |
| 作 | 作 | 閑 |→ | 閑 | 作 | 作 |→ | 作  | 閑 | 作 |
|   |   |   |  |   |   |   |  |   |   |   |
| 地 | 地 | 地 |  |地  | 地 | 地 |  | 地 | 地 | 地 |
└──┴──┴──┘  └──┴──┴──┘  └──┴──┴──┘
   1年目               2年目            3年目 
    ↑                                  |
    └───────────────────────┘
・第4段階:
穀草式農業=三圃式農業の休閑地に牧草を植え、家畜を放牧する。
家畜収入も入る上、
家畜の糞尿で、ただ単に休閑させておくより地力が回復する。
→ヨーロッパの
有畜農業のはじまり。
┌──┬──┬──┐  ┌──┬──┬──┐  ┌──┬──┬──┐
| 夏 | 冬 | 放 |  | 放 | 夏 | 冬 |  | 冬 | 放 | 夏 |
|   |   |   |  |   |   |   |  |   |   |   |
| 作 | 作 | 牧 |→ | 牧 | 作 | 作 |→ | 作  | 牧 | 作 | 
|   |   |   |  |   |   |   |  |   |   |   |
| 地 | 地 | 地 |  |地  | 地 | 地 |  | 地 | 地 | 地 |
└──┴──┴──┘  └──┴──┴──┘  └──┴──┴──┘
   1年目              2年目              3年目 
    ↑                                  |
    └───────────────────────┘ 
・第5段階:気候や土壌に応じて以下に3分化してゆく。
北部=
酪農→家畜収入が主体に。
中部=
混合農業→主に小麦、じゃがいも、とうもろこしなどの畑作が主体に。
南部=
地中海性農業夏の乾燥に強い、かんきつ類、ぶどう、オリーブなどの夏作物
と冬の裏作の小麦、家畜飼育を行う。
           ↓
主食は小麦を加工したパン、野菜に肉に、ミルク、ワイン、くだもの、という組み合わせの
洋食の起源は、こういったところに求めることができるのですね。

1998/10/08


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