更新記録・近況
 
  毎年クリスと私はアカデミー賞の作品、監督、主演・助演男優/女優、脚本賞の予想を立てて授賞式をテレビで見るのが毎年の恒例となっています。そこで授賞式までに観れるだけみた映画の感想、見終わったところで私たちの予想を更新したいと思います。本当に個人的な感想・批評だけです。
 
         
         
  2002
     
  ■The Hours
私はバージニア・ウルフが(特にMrs. Dallowayが)大嫌いなのでオスカー候補に上がってなかったら絶対見なかっただろうという映画。二コール・キッドマンが最有力候補と言われているほど偽の鼻までつけて頑張って演じた作品。Mrs. Dallowayを執筆中のウルフ、1950年代にMrs. Dallowayにのめりこんでる妊娠中で鬱気味の主婦、現代のNYに住みMrs. Dallowayと同名のクラリサは子持ちのレズビアン。「この3人がどう関係あるんさ」と原作を読んでない人は思うかも知れない。全体的に嫌になる程暗くて3人の女性の関係を結びつけるのが難しい題材やのに、非常に綺麗に纏めた作品。ただ映画が終わって暗いムードになるのは防げないでしょう。キッドマンと共にエド・ハリス、ジュリアン・ムーアが候補に上がってるけど、この3人の中で私が「勝って欲しい」のはエド・ハリス。しかし下に感想を書いてるAdaptationのクリス・クーパーが勝つかな…

■Adaptation
Being John Malkovichの監督・脚本家組が復活との事ですんごい期待してたのに結構悲惨でショックをうけた作品。一言でいうと展開が尻つぼみ。映画の始まり方(真っ暗のスクリーンに二コラス・ケージ演じるチャーリー・コフマンがぶつぶつ独り言をいうてる場面から映画は始まる)から本来は存在しないチャーリーの双子、ドナルドのキャラクターといい、前半はすごい良かった。原作のThe Orchid Thiefを読みたくなるようなスーザン(メリル・ストリープ)とジョン(クリス・クーパー)の前半でのやり取りも素晴らしい。ただ後半は時計で時間確かめるほど展開がちゃちいB映画のようになってしまってて、こんなにいっぱいええ役者使ってるのに後半の悲惨な結果のせいで映画の全体の感想も「あーあ、なんか損した」と思えてしまう。二コラス・ケージ、実は嫌いやなんけど、この映画は個人的に彼がオスカーを勝ち取ったLeaving Las Vegasよりええ演技をしてたんとちゃうかと思う。しかしメリル・ストリープの候補は不明。(これなら上のThe Hoursで演じたクラリサのほうがまし)

■Chicago
私が嫌いな俳優(レネ・ゼルウィガー、リチャード・ギア)の主演で固められててあんまり期待していなかったんやけど、素晴らしい出来で嫌いやったレネの株は私の中では急上昇。キャサリン・ゼタジョーンズが歌うのはどっかの「スターの過去」系の番組でイギリスでポップアルバムを出してたとかいうのを見てたので知ってたけど、レネ・ゼルウィガーが(そりゃキャサリンとかクイーン・ラティーファには負けるけどさ)あれだけ歌えるのにはビックリ。ビックリといえばキャサリン・ゼタジョーンズの踊りとジョン・C・ライリーの歌。リチャード・ギアもタップを披露してたけどなかなか。映画みてる最中に「これは絶対DVDでたらすぐ買うぞ〜!!!」と思ったのは久しぶりの優秀作。ミュージカルで綴る部分が現実のシーンと綺麗にブレンドされていて監督/編集も賞が行くやろうなーと説得されられます。「一番好きなシーン」とかいうとたいていの映画やと1つ2つのシーンを思い浮かべる事が多いと思うけど、Chicagoの場合マリオネットのシーン(これを見てクリスと二人で大根役者リチャード・ギアもゴールデン・グローブ持っていって正解と納得)、刑務所の女の子達が白状するシーン(実際に有罪な子が全員「血」を表現する真っ赤なスカーフをつかってダンスをしているのに一人だけハンガリー出身の無罪の子が白いスカーフでバレエを踊るのが残酷やけど綺麗)などなど思い出してみると天秤に乗せて「これが一番!」というには良い味でてるシーンが多い。ま、私は元からミュージカル好きなので私の意見は偏見に満ちてるんかも知れんけど、うちで毎年恒例に開くオスカーパーティーでは今年はお客さんに「自分が受賞して欲しい映画/俳優」っていうのと「自分の好き・嫌いに関係なく受賞すると予想する作品/俳優」っていうのをチェックしてもらうつもり。Chicagoは私が「受賞して欲しい映画」。

■Road to Perdition
DVDを借りてきたんやけど、自分の趣味からいうと「あー、こんな映画、レンタルで借りるのももったいない」と思ったくらい。ほんま、HBOとかCinemaxで放映されるまで待っても十分。多分トム・ハンクスが今までの役柄と全然違った系統のキャラを演じてるから話題になったんやと思うけど、別にたいした演技でもないし。オスカー候補にあがってるポール・ニューマンも年やからなんとなく義理オスカーなんて出るんとちゃうか…(近年多いし、去年のデンゼル・ワシントンとか、絶対ショーン・ペンかラッセル・クロウが受賞すべきやったのに、演技からいうと。ハリウッドが嫌ってる性格俳優やから二人とも負けてしまったし)と不安に思うくらいの演技。一番良かったのはすごい気持ち悪い役を引き受けてるジュード・ロー。最後のシーンで「ビックリ仰天」の展開とか新聞の広告に書いてたけど、私とクリスは映画とおりの展開を予想してたので「な〜んや」で終わり。全く身の無い映画でした。

■Unfaithful
これまたリチャード・ギアが出てくる映画やねんけど、この作品で候補に上がってるのは懐かしのダイアン・レーン。最近彼女を見たのはMr.スターリングに主演してるジョッシュ・ブローリンの彼女として何かの試写会に出席してたのを見たくらいでこの候補に上がるまでまだ彼女が映画に主演してるとは知らんかった私。もうすぐ40の彼女やけどとっても綺麗です。ま、それがこの映画でも問題を起こす(?)んやけど。タイトルの通りダイアン演じるコニーがNYCで若いフランス人の古本ディーラーと不倫してしまうお話。NYC郊外ウエストチェスターのええおうちに住んでて、夫婦仲も良いし「淡々とした」生活っていう以外に不倫する理由が描かれてないので、映画みてる最中に観客がリチャード・ギアに同情するように綴られている。けど、ダイアン・レーンの「半分幸せ・半分罪悪感大」という表情(特に恋人ポールと会った後、帰宅途中の電車の中の顔)があまりにも上手い(?)のでなんとなく100%コニーの事も嫌いになれないという感じかしら。なんせ展開は暗くなる一方でこれを一日の最後にみたらなんかすごい暗くなりそう。話自体はとってもつまらないし、ダイアン・レーンの演技見るだけのために借りる必要もないDVDです。

■About a Boy
アメリカ映画に出てき始めてから演技力が無くなったとしかいいようのないヒュー・グラントが主演の映画やけど、これはなかなかの好作。ま、脇役のヒッピーシングルマム、トニー・コレットや彼女の息子役の子役が良かったのでそれでヒュー自体もまともに見えたんかも知れんけど。ヒュー・グラントが演じる主役のウィルが「無職」(それも自分のお父さんが一曲ヒットを書いた著作権で優雅に生きてる)っていうところが観客が「なんて嫌なやつ」と思うのに最適なのがちょっと変わってていいなと思った。これは本から映画化された部門の脚本賞のノミネート。他の作品にはChicago、AdaptationやThe Hoursがあがってるから勝つのはムリかな…

■My Big Fat Greek Wedding
これ、トム・ハンクスの奥さんで女優のリタ・ウィルソンがプロデュースして、アメリカで一番稼いだインディー映画なんやそうやけど、結果からいって「映画館で見なくてよかった」というのが私の感想。はっきりいって単なるSlapstickコメディー。例外なのは親父が面白かった事。お父さんが娘とその友達を学校に送って行く車の中で「何でも由来はギリシャ語」の説明をしちゃうシーンは結構笑えた。あんまりにも大ヒットしたので近日テレビ番組として登場するそうやけど、私はあんまり興味ないな。こんなんよりよっぽどBeing John Malkovichのほうが面白いし、劇場でみる価値ありと思うけど。ただこれはオリジナル脚本でノミネートやからもしかしたら勝っちゃうかもね。

■Y Tu Mama Tambien
メキシコ映画がオリジナルの脚本賞にノミネートっていう事で外国語の映画のノミネートは追わない私たちも見ることになった映画。喋りの多い映画。というかスペイン語わからんので聞いてるとひっきりなしに喋ってるような気がする。(だから字幕読むのも疲れるよー、私みたいにスペイン語わからん人は)青春映画と一言でいってしまうとちょっと間違ってるんかも知れんけど、最初に二人の男の子の生い立ち(?)を紹介するシーンと映画の後半までははっきりいって、Dude, Where's My Car?とあまり変化のないアホっぽい映画。最後の最後に「あ〜、それでか…」という締めくくりがあるから落ち着くので話の持っていき方は良いかも。これはMy Big Fat Greek Weddingと同じカテゴリーでの対戦。私やったらこっちとるかな。

■About Schmidt
主役のウォレン・シュミットを演じるジャック・ニコルソンはこれで男優ではオスカー史上最多の12つ目のノミネーション。これでもし受賞したら5つめのオスカー!(主演2つ助演2つをすでに持ってるニコルソンじいちゃん)話の筋は単純で、退職した保険会社のおっちゃんがその後妻に先立たれて生活と共におっちゃん自身が変化していくのを追ったもの。舞台がオマハでいかにも俳優ジャック・ニコルソンが好んで住みそうにないへぼい町でウィナベーゴなんかで移動してトレーラー・パークで休息しちゃったりするのがおかしい。退職後の話の展開は殆どがウォレンが月々22ドルかそこいらの募金を出してスポンサーになっているエンドゥグ君というタンザニアの孤児に書いてる手紙で綴られている。性格俳優でうめつくされてるキャストの中のキャシー・ベイツも候補に上がってるけど、ニコルソン程候補に納得できる演技でもなかったんとちゃうかなーというのが私の感想。オスカー予想しない方はDVD発売を待ったほうが映画館にいくより安上がりかも。

■The Lord of the Rings: the Two Towers
2作目のほうが断然良いとこれまたゲームおたくの友達に聞かされてたので、クリスと共にかなり期待して観にいった映画。それも本当はChicago(後日見る予定)を観にいったのに映画館についてから「あぁ、やっぱりこっちにしよう」と急遽変更したのであります。いやー、この映画ってキャスト皆さん(一作目で死んじゃったボロミア以外)は静止した状態でみるとけっこう不細工な男やと思うんやけど、レンジャー、アラゴーンのカッコええ事!それもゲーム/ファンタシーおたくに大受けやろうと思われるレンジャーのスキルをピピンとメリーの痕跡を追うシーンでバンバン見せてくれます。多分最優秀作品賞にはノミネートされたものの、受賞はしないやろうと思うけど、これこそ映画館に行って見る価値あり!Helm's Deepでの戦闘シーンは迫力大!(ちょっとViolentですが)そのすごいスケールの葛藤シーンの最中にレゴラスとギムリが2作目でコミック・リリーフになってしまってるところが気が抜けていてよろしい。(戦闘中にギムリが「2人殺したぞ!」とレゴラスに誇り気に言うとレゴラスが「僕は17人!」という返事をしたり… 長い人間用のチェーンメールしかなくてギムリが長すぎる防具をきて登場した際に長さの事には一切ふれず「もうちょっと胸囲がないと」とぶーたれるシーンでもやはり劇場は爆笑。) レゴラスを演じるのはオーランド・ブルーム君いうれっきとした男優やねんけど、レゴラスしてる時はどうしても女の子にか見えないのは私だけなんかしら… 彼だけやなくてエルフ系の人が瞬きをあんまりしないのもちょっと気味悪い。2作目でフロドを完全に影に追いやって主役をしているアラゴーンがエルフよりもエルフ語をよう喋るのも面白い。ちなみにこのエルフ語、実際にJRRトルケンのファンの言語学者が北欧の言語をチャンポンにしてこの映画製作の為に完成した言語で話されてるのだそうです。

■Catch Me If You Can
父親を演じるクリストファー・ウォーケンのみが候補にあがっているこの作品はクリスマス前に試写会の券が当たって観にいったんやけど、無料で見れたから感想抜きに素直に楽しめる映画やったけど、お金はらってまで観にいってたかは疑問。主役のフランクJrを演じるレオナルド・ディカプリオは実際は27歳で高校生のようにしか見えないから16歳の主人公の役がぴったりに見えるけど、実話に基づくと本物のフランク・アビニェールは16歳ですで40過ぎのおっさんに見える容姿やったのでパイロットになり過ごしたりできたとのこと。しかし内容的には「かわいい」映画というか別に人を殺したり、そういう系統の犯罪を起こすんとちゃうから見てて「ははは」と笑える娯楽映画。映画自体も楽しめると思うけど、最初のクレジットのシーンのアニメーションが素晴らしいので私はそれに見惚れてしまった。候補にあがってるクリストファー・ウォーケンもいい味だしてるけど、今年の男優候補は主演も助演も演技派ばっかりでかためられてるので、すでにオスカー受賞者である彼も勝てるかどうかは3月23日までわからんといったところでしょう。ちなみに主演の候補者は1人を除いて皆さんすでにオスカーを持ってる人ばっかり。助演のほうは個人的には近年ずっと候補にあがってるのにまだ受賞してないエド・ハリスかマグノリアでの警官役からすごい気に入っているジョン・C・ライリーに受賞してほしい!
     
 
 
 
最後にこのページをいじったのは2004年 1月1日。
 

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