中島義道著『<対話>のない社会』(PHP新書)
→哲学をエサに金儲けしてるおっさんで、他の著作は結構怪しい(ってか、自伝みたいの書くなよな、笑)のが多いが、これだけは素直にオススメできる。「私は無力な言葉をさらに無力にしたくない」という最後のおっさんのメッセージは心をうつ。良くも悪くも冒頭にこれを紹介するのは、あらゆる新書の中で一番オススメできる本だからだ。
小沢牧子著『「心の専門家」はいらない』(洋泉社)
→俺の友人やfemme fatales(一応「運命の女」と訳しておく、笑)はみな精神科に通院したり、中には精神病院に入院しちゃったのも何人かいるのだが、とりあえずこいつら全員にこれを読ませたい。カウンセラーなんて必要ない。必要なのは休養と少しばかりのクスリだ。
福田和也著『悪の恋愛術』(講談社現代新書)
→福田和也なんてクソだといいつつ、やっぱりキライになれない自分が居る。これまた『悪の対話術』に続いて「安直に悪と名をつければ売れると思ってんじゃねえのか」とツッコミを入れたいのを抑えつつ手にとって読んでみるとなかなかの好著。プロローグの部分だけでも人に読んで欲しいと思う。
藤原保信著『自由主義の再検討』(岩波新書)
→近代政治思想を概観するのに役立つ。福田歓一よりも個人的には藤原保信の方が俺は好きだ。別に早稲田だからじゃねえぞ(笑)。まあ、近代政治思想を概観したからといって何の役にも立たんのだけどね。よっぽどこの前立ち読みした『五分で女を口説く』の方が役に立つ。
細川亮一著『ハイデガー入門』(ちくま新書)
→凡百のハイデガー入門書の中で一番使える入門書なのではないかと思う。本人も「通俗に堕してまで入門書を書きたくない」というだけあって、結構自身の研究書の内容と変わらないような話を織り込んだりしている。ハイデガー哲学についての知りたいならこれから入るといいかもしれない。
山内志郎著『論文マニュアル』(平凡社新書)
→「ぎりぎり合格への」なんていう副題がついているが、いわゆる「論文作法」のような堅苦しい本ではない。「論文に『独創的な考え』や『オリジナルティ』など必要ありません。必要なのは論文という『形式』にしたがって書くことだけ」という筆者の主張は共感できる。ちなみに、彼はスコラ哲学(トマス・アクィナス)の結構有名な研究者だったりもする。
斎藤忍随著『プラトン』(岩波新書)
→プラトンの「恋」に関する言説を結構多く取り上げている本。四部構成なのに、「恋」の部分だけ異常に長い。作者の思い入れの深さが伝わってくる。ちなみに、プラトンの恋愛論はロラン・バルト(『恋愛のディスクール・断章』)のそれと並んで個人的に気に入っている。
大江健三郎著『新しい文学のために』(岩波新書)
→今更全然新しい文学でもなんでもなくて、ロシアフォルマリズムなんぞをさぞご大層なものとして紹介している本だが、まあ読んで損はないかもしれない。いっそバフチンでも勧めたほうがいいのかもしれないが、ここは新書だけを扱う読書案内なのでそれは出来んということでこれをススメておく。
今村仁司編『現代思想を読む事典』(講談社現代新書)
→とりあえず、これ一冊持って置けば現代思想なんて十分だろ、などと思えてしまう。人と話しているときや掲示板で訳のわからん現代思想用語使っているバカがいてもこの一冊で速攻解決だ。なかなか便利な一冊。
小野谷敦著『もてない男』(ちくま新書)
→よくもまあこんな本書いたもんだ、と思う。しかし、これで一発大もうけ出来たんだから、恥晒してよかったのだろう。彼の「ルサンチマンで何が悪い?」という言葉には少なからず感銘を与えられたものである。開きおなりの美学を強く感じさせてくれる本。変に悩むより彼のように開き直った方がナンボか生産的だ。
クリスチャン・デカン著廣瀬浩司訳『フランス現代思想の最前線』(講談社現代新書)
→何でこの本を載せるかって言うと、単に俺が学部生時代はじめて大学で読ませられた哲学関係の本だから、なんていうフザケタ理由だったりする。だが、内容の真偽や深さはともかくとして、新書でこれまで総覧できるのはスゴイ。フランス現代思想なんてクソだぜってのが俺のスタンスなんだが、それでもこれぐらいは読んでおくといいかもしれない。
浅野楢英著『論証のレトリック』
→10年だかかけて作っただけはある。かなりの力作。とりあえずの(古代ギリシア)修辞学入門としても最適だ。弁論に何の自信もない人はこれから入ってみると意外とうまく喋れるようになるかもしれない。あくまでも「しれない」だけだが。でも、アリストテレスが基本を抑えているのは事実だ。
竹田青嗣著『ニーチェ入門』(ちくま新書)
→ちくま新書の○○入門というのは結構アテになるような気がする。この本なんかも「ええ竹田青嗣なんて胡散臭いじゃん」とか思えてなかなかいい本だ。というか、俺なんかの世代だと彼の本から哲学に親しんでいったりしたわけで、俺もその例外ではない。
永井均著『<こども>のための哲学』(講談社現代新書)
→『これがニーチェだ』の方がニーチェ哲学として合っているかどうかはともかく永井の主張自体は判りやすいのだが、こっちはある意味とっつきヅライかもしれない。だけど、この本を読んで感動したのもまた俺なんかの世代だったりする。
野矢茂樹著『哲学の謎』
→言わずと知れた名著(?)。哲学チックな疑問に日々悩んでいる高校生とか大学一二年生にオススメできる。もちろん、哲学など門外漢という人には哲学に馴染むにはうってつけかもしれない。しかし、間違ってもこれを読んで大学院とか入ってはいけない。「お前阿呆か?」といわれるのがオチである。
川原栄峰著『ニヒリズム』(講談社現代新書)
→彼のHeideggerの退屈説に関する論文が私がはじめてHeideggerに触れた経験だったが、そんな俺の思い出はどうでもいいとして、いわゆるそこらの格好いい「ニヒリズム観」を持っている文学部の一年生辺りに読ませたくなる一品。
丸山真男著『日本の思想』(岩波新書)
→過去の議論を振り返ることなく、毎度毎度同じことを繰り返し議論する無駄を嘆く姿には大いに共感させられる。作者の趣旨とはずれるが、議論をする心構えとしても読める。
山之内靖著『マックス・ヴェーバー入門
→別にマックス・ヴェーバーじゃなくてもいいのだが、評判の名著だけはある。新書でここまでうまく纏めている本は数少ないのではないだろうか。ヴェーバーの思想は結構使いまわしが利し、これ一冊で結構近代が語れる。って、近代なんか語ってもどうしようもないと思うが(笑)。
今村仁司著『近代の労働観』(岩波新書)
→作者の意図とはズレるが、働く気がなくなる本。ちなみに、この本を読んで仕事を辞めた馬鹿もいる。なかなか恐ろしい本ではある。
つづく