「スペース・カシノ・コネクション(仮題)」
キーワード:こてこて。べたべた。お約束。
<シノプシス>
トオル、勇者に選ばれる。
RPGのやり過ぎか? 突然能力に目覚め、パワーを解放するトオル。これは一体どういうことだ? 死した能力者の魂がトオルに宿ったのだ。空まで飛んでしまう。すごい。すごすぎる。危機が迫っている。鍛えよ。何の取り柄もなく、一人暮らしで貧乏生活をするトオルは今、新しいステージに上ろうとしていた。
一方、狩篠高校一の天才少年、圭一郎は謎の美女にからまれていた。宇宙からの危機がせまっていると告げに来たのだ。どうして、僕の所に? 偶然? そんなことは説明にならない。じゃあ、こう言いましょう。運命よ。美貌と天才故に孤独な人生を走っていた圭一郎の人生に一条の光が差し込んできた。
委員長こと中条姫子は、ある日、精神感応が爆発。狩篠町の北にある野辺湖に誘われてゆく。そこの湖底にはUFOが沈んでいた。宇宙人と接触する委員長。人間のすさんだ心を見て疲れた委員長はその宇宙人の優しさに包まれて眠りにつく。
美里は、帝都大学研究室へ父に連れられてきていた。そこで人工知能FXと出会う。彼は既に各地のコンピューターの中に自分の種を植え付け、世界を操る術をもっていることを告白する。そして、自らのボディを作ってくれるよう美里に頼む。その間、父「マスター」は謎の機関に裏切り者として殺されてしまう。できあがった、ボディと共に逃避行に出る美里。
* * *
謎の組織とは、宇宙友愛協会のこと。彼らははるか昔より、宇宙人の存在に気付いており、密かに地球征服を狙っていたのだ。マスターは実はそのメンバーだったのだ。マスターの遺言で狩篠町の古い邸宅に潜入する美里とFX。そこで圭一郎と謎の美女と出会う。
謎の美女はマスターとも接触をするつもりだったのだ。仲間はいる、ということで。そして4人がマスターの地下で見つけたものは猫型最終決戦兵器・巨大人造三毛猫「アクマロンZ」だった。圭一郎が自慢の頭脳で再起動に成功するが暴走し始める。山が崩れ、突如現れた怪獣に狩篠町は恐怖の渦に包み込まれる。
すっかり、自らの力に酔っているトオルは、突然現れた怪獣に勝負を挑む。超・超能力でアクマロンZと戦うトオル。しかし、謎の美女はトオルにとりついた霊とは、かつての同士、コードネーム「アバタール」であることに気付く。トオルの超能力により町の外へとテレポートするアクマロンZ。
テレパシーをつかって、アクマロンZの心を読むトオルとアバタール。すると、アクマロンZは昔、狩篠町近くにある湖、野辺湖に沈んだUFOのテクノロジーを応用して作られたものであることが分かる。
* * *
すっかり手なづけて大人しくなったアクマロンZをなだめて、湖底調査に入ろうとする一行に、騒ぎを聞きつけ宇宙友愛協会の団体がやってくる。ちなみに宇宙友愛協会のみなさんには顔というものが無い。全て顔の表皮に合成皮膚を張っている。それをはぐと灰色の薄い皮膚をすかして赤い顔の筋肉が見えるというぐろい格好をしている。
その過程で謎の美女(「小夜子」)は怪我を追ってしまう。アバタールの様子がおかしくなる。なだめるトオル。宇宙友好協会のみなさん、ばたばた倒れてゆく。その内の一人が自爆しようとする。それをかばって倒れるアクマロンZ。
マスターの発明した万能ビークル「ネオ・タートル」に乗って湖底に潜入する一行。そこに沈んだ円盤形宇宙船を発見する。テレパシーが飛んでくる。委員長の声だ。委員長とは幼なじみの圭一郎は驚く。どうしてそんな所に?
人工知能FXは、世界中の諜報機関が今まで秘密裏に取引をしていた宇宙友愛協会の存在に一致して反旗を翻すことを決定したことを告げる。そして、ここ狩篠町に核攻撃が行われることも……。
* * *
宇宙友愛協会は、ついに月の裏側に隠していた巨大宇宙戦艦を発動させる。しかし、それはまだ不完全な形でしか復旧されておらず稼働時間は長くない。それでも、各国政府の反旗を黙らせるには充分だ。次々と世界中の軍事施設を破壊する宇宙戦艦。
その間にも狩篠町への進行作戦は進んでいた。各国政府は狩篠町に敵の本拠地があるとにらんだのだ。落下傘部隊が降り立ち、宇宙友愛協会のみなさんとの間に激しい戦闘がくりひろげられる。
委員長の指示により、UFOは開き一行はそこに避難する。各国政府が宇宙友愛協会の技術によって作られたミュータント部隊(カエル人間)で、野辺湖は一杯になる。UFOの中央には裸で球体の水槽の中でうずくまる委員長の姿が見える。精神感応でみんなの心を見透かす委員長。そこに、暖かさを見つけ、人類を救うことの価値を知る。UFOの主は小夜子やアバタールによって伝説に聞く「宇宙の使者」だということがあばかれる。「宇宙の使者」は、まだ未開の星にやってきては、その文明が宇宙へ旅立つまでを見守る役割を果たすのだという。そして、その最初に接触したメンバーというのが今の宇宙友愛協会の母体、地球外文明調査委員会だった。その中にマスターがいた。そしてそのマスターこそが、調査委員会を乗っ取り、宇宙友愛協会をつくった本人だと知らされる。嘘よ、と怒鳴る美里。普段は冷静な美里の取り乱しように動揺する一行。
* * *
突然、委員長の様子がおかしくなる。強力な思念に冒されているらしい。近くに、宇宙友愛協会のボスがいるらしい。トオルはアバタールの力が弱まっていることに気付く。小夜子を救うためにパワーを使いすぎたのが原因だ。
一方、圭一郎は死んだと思われていた巨大三毛猫「アクマロンZ」の復活に成功。最終決戦への準備を整えていた。人工知能FXの活躍により、一時的に各国政府によって組織された国連軍を攪乱し、「ネオ・タートル」と湖のUFOに乗って、宇宙戦艦に突撃する。しかし、それは単なるダミーだった。実は、宇宙友愛協会のボスは、人工知能FXの無意識の中に、一種の精神体として潜んでいたのだ。そして人工知能FXの情報探査網にのって、その手下を操作していたのだ。
圭一郎はその可能性に密かにたどり着いていた。宇宙友愛協会のメンバーの血液型が全て同じだったことから、そのメンバーは全てマスターのクローンだということをつきとめていた。そして委員長の「近くにいる」という発言。なぜ、国連軍が狩篠町を本拠地と考えたか。それは勘違いでは無く事実であったとしたら……?
* * *
もはや、人工知能FXのボディはマスター、すなわち宇宙友愛協会のボスに乗っ取られていた。どうして、と責める美里。
マスターは、美里を助けたり、アクマロンZを作ったマスターは初期クローンの一人であったという。マスターはクローンを最初友達のように扱っていたが、やがて、美里の母を二人で取り合う事態になり、そのクローン1号を殺そうとする。クローン1号はマスター本人にくらべ、優しさと弱さを持つより人間らしい人間だった。そこに美里の母はひかれ、身ごもる。それが美里だ。赤ん坊をつれた逃避行。美里の母はそこで死んでしまう。そして、クローン1号は、密かにマスターを倒すための準備を進めていた。UFOを奪い、野辺湖の沈めたのも全てそのクローン1号、すなわち美里の父であった。
そして、やっとその存在を見つけだしたが、どうしても、クローン1号のしかけた準備の全容が見えてこない。そこで、人工知能FXを目覚めさせ、その中に密かに意識をもぐりこませていたのだ。
* * *
トオルとアバタールは人工知能FXのボディの破壊をしようとするが、どうしても全力が出せない。父と弟のようなFXを殺す。美里が悲しむ姿は見たくない。トオルはそう思っていた。委員長がそのことに気付く。その思念が美里にも伝わる。美里はそこで、自らネオ・タートルの乗り込みFXを破壊しようとする。いいのか、と叫ぶトオル。早く、こんなこと終わりにしなくては、という美里。委員長もまた、アクマロンZと精神融合して戦う決意をする。しかし、「宇宙の使者」はそれはいけない、という。委員長こそ、次の人類の運命を担う人間なのだと諭す。しかし、委員長は反論する。最初にそう言ってマスターに力を与えたのは誰あろう「使者」その人ではないか。私は私の信じるようにする、と。
まだ完全復活を遂げていなかったパワーを失い宇宙戦艦は狩篠町に落下しようとしている。そして、核爆弾の山がそこを襲う。
「使者」は思う。自分が間違っていたのか、と。自らの存在そのものが、このような、事態を招いたのか、と。しかし、一方で「使者」は知っている。一歩先へ進む為には、一度「死ぬ」ことも必要なのだということも。この破壊と混乱の中からこそ人類は学ぶべきものを本当につかめるのでは、と。
そして、地球上に存在する究極の力と究極の力、そして核攻撃がミックスされ、全てが光の世界へと導かれる。
* * *
思念体の状態になったまま、「使者」、マスター、そして委員長の会話が続く。
人類の成長とは何なのか。それがどうしても必要なのか。アバタールと小夜子が口を挟む。我々は広く銀河に広がり、多くの文明を切り開いたが、ついに未だに生命そのものの意味についての明確な定義は持ち得なかった。「使者」は、生命の存在を広く宇宙に播くことを目的としているが、その行く末を照らしてはくれない。
「使者」の回想。長く宇宙を旅してきた末にたどり着いた地球。そして、「使者」は自らの寿命も知る。焦っていたのか。生命はやがて死ぬ。死ぬために存在する生命。だが、そこには確かに意味がある。そう、ただそこには意味があるだけ。
だとすれば、自分が他の生命に関与することにどんな意味があったのか。「使者」のとまどい。「使者」は気付いている。マスターこそは、自分の意思の体現した姿に過ぎないということを。では意味とは何か。意味とは関係だ。関係の中に意味が生まれる。
それぞれの人物の出会いの回想。これは無意味ではない。これら全てを否定することはできない。では、この破壊も?
委員長は思う。「使者」によって与えられたものだからといって全ては「使者」のものではない。それは既に独立したものなのだ。あたかも、マスターから生まれたクローン1号のように。この破壊を受け入れることは必要だ。これは一つの結論として。しかし、このままでは、この結論を伝えることはできない。全てが灰燼と化した今となっては。今、私が望むのは、この思いを誰かに受け止めて欲しいだけ。
* * *
すると光の向こうに何かが見える。「使者」らしい。しかし、それは一つでは無い。たくさんの「使者」の姿がある。あなたは一体?、と問う委員長。「使者」は答える。私たちは、多元宇宙の向こうにいる「使者」たちだ、と。多元宇宙? パラレルワールドさ。現実は一つではない。たくさんの枝分かれを生じさせ、分裂と消滅を繰り返すのだ。
つまり、この消滅する世界もまた多元宇宙の一つにすぎないってこと? その通りだ。証拠を見せてやろう。
と、日常生活を送る委員長や圭一郎、トオルに美里などの姿が見える。彼らが、私たちの存在に気付くことはあるの、と尋ねる委員長。君がそれを望むならば、と答える「使者」たち。既に最初の「使者」もその大勢の「使者」にまぎれてしまっている。もちろん、と委員長は言う。きっと、きっと、分かってくれるはず。
そして願いはかなえられる……。
* * *
……原稿を前にして囲む、美里、圭一郎、トオル、委員長。苦笑する女生徒が一人。
美里「小夜子ちゃん。まあ、これはこれでいいんだけれども、私たちを実名
で使うのは、やっぱ、どうかなあ?」
圭一郎「オリジナリティにはかけるな。それに、これじゃあ只の内輪うけネ
タだ」
トオル「俺の活躍があるのはいいね。でも、ちょっと性格、馬鹿っぽいかな」
委員長「私は、なんかすごい役だね……ううむ」
小夜子「駄目ですか?」
圭一郎「自分を宇宙から来た絶世の美女と描く辺りの根性はすごいな」
トオル「まあ、夢オチってのもありふれてるって言えばありふれてるけどさ」
小夜子「いえ、これは夢オチではなく、パラレルワールドに起こった真実の
記録です!」
委員長「……小夜子ちゃん大丈夫?」
小夜子「くら……あ、すいません、徹夜で書いていたもので疲れが……」
圭一郎「まあ、試みとしては面白いかもな。つまり、キャラクターは共通し
ているが、作品ごとに設定や舞台が微妙にことなりながら話がつくられる
ってわけだろ……」
小夜子「そうです。先輩達はキャラが面白いんですから……」
トオル「なに?」
小夜子「あ、いえ、ですから、その先輩たちのすばらしい人格をいかすに
は、こう、いろんな世界で活躍したほうがいいかなっと……」
圭一郎「しかし、こういう後書きみたいなものは本当に必要なのか。ごまか
しに見えるぞ」
美里「まあ、確かに蛇足と言えば蛇足よね」
トオル「ラストとか、某アニメの影響がもろ、という感じもするよなあ」
小夜子「私たちの世代ならみんなこういう世界に慣れ親しんでいますよ。ハ
ルマゲドンは時代の思想です。もちろん、意図的にパロディにした所もあ
りますけれども」
圭一郎「それは分かる。というより、全編元ネタが僕には分かるぞ。トオル
の覚醒は『ア○ラ』、人工知能FXは『○ーチャル・○ール』、宇宙友愛
協会は『デュ○レスト・○ーガ』……」
小夜子「それを探すのも楽しみの一つということで……」
委員長「完全なオリジナルなど存在しないってことか……」
美里「まあ、小夜子ちゃんも頑張ったことだし、うん、じゃあ、今回の部誌
はこれで行きましょう」
小夜子「ありがとうございます。じゃあ、あとよろしくお願いします」
美里「はい、ご苦労さま」
委員長「美里も大変だね、文芸部の部長」
圭一郎「しかし、これ、文芸ではないよな」
美里「今は、文芸部とか言ってもマンガやアニメの好きな人の方が多いのよ」
トオル「あれ、そういえば……」
委員長「どうしたの?」
トオル「俺達たしかまだ一年生じゃなかったけ。どうして下級生がいるんだ」
委員長「……」
美里「……」
トオル「な、なんかまずいこと言ったかな?」
圭一郎「……」
トオル「あれ、みんな、どこいっちゃったの? あれ?
あれ?
あれ?
(おしまい)