月刊少年エース7月号読感
(最終更新5月28日)
みなさん、もう月刊少年エース7月号、ご覧になられましたでしょうか。
まだの人は、まず本屋に行き、「肉眼で確認」をお願いします。以下の文章
はネタばらしだらけ、ですので。
***
さて、肝心の内容ですが。
一言で言えば「貞本さん、我が道をゆく?」という感じです。ともかく、この先、テレビ版と異なる展開をする可能性が高い。特に、LD未発売になっている20話以降の展開は、相当違いを見せるのでは、と推察します。
以下、主にテレビ版との比較をしながら、その「貞本エヴァ」の意図する所を検証してみたいと思います。
1・「シンジは綾波に完全ラブ状態である?」
<証拠1号>
アスカがシャワーを浴びる中、ベッドの上に一人横たわるシンジ。
その際。
「でも、これが惣流でまだよかったかもな。もしこれが綾波とだったら……きっと間がもたない。綾波はそんなの全然平気だろうけど……きっと僕は会話を探すのに必死になって……」
と顔を赤らめながら心のつぶやきを上げる……。
<検証>
驚きです。本編では、ここまでダイレクトに綾波に対する好意を示すシーンはありませんでした。
思い返すに、本編でシンジが綾波に好意を寄せていると思われるシーンは、
「5話・スクール水着姿の綾波を凝視」
「6話・綾波を慌てて救出」
「10話・プールで泳ぐ姿を凝視」
(アスカを前にして無視)
「11話・アスカのどっちを選ぶの発言に沈黙」
(アスカと答えればいいのに、あえて拒否するところがあやしい)
「14話・綾波の匂いがする」
(綾波の匂いを嗅いだことがあることが発覚)
「15話・雑巾絞る姿を見る目つき」
「16話・『よかったわね』に動揺」
「17話・綾波の部屋への不法侵入、及び物色」
「19話・綾波が倒れて初めてやる気を起こす」
「23話・綾波の病院にかけつける」
などがありますが。どれも状況証拠で、少なくとも「綾波のことを思い浮かべて顔を赤らめる」などというシーンは皆無。
貞本先生は「スキゾ・パラノ」で「マンガの綾波は人間です」と断言していたので、シンジとレイをくっつけようと画策する可能性もあり……。これについては改めて後述。
2・「貞本ネルフは福利厚生施設が万全?」
<証拠2号>
シティーホテルライクな一室。
<証拠3号>
ダンススタジオの設置。
<検証>
上のシーン後、シャワーからでてきたアスカはバスタオル一丁の姿で、軽くシンジを挑発。この際、シンジは「ミサトさんがカメラできっと見ているよ」と切り返す。監視カメラのあるシティーホテルのような一室……一体、本来いかなる意図により設置された部屋、なのか? まさか、温泉マークなことに……で、カメラは観賞用に……。
しかし、これは、要人を特別に招待した時などに利用している、と好意的に解釈することもできる。
が。二人の特訓が行われる、あの「ダンススタジオ」何なのか。練習用のバーや、巨大スピーカー、オーディオシステム、休憩用のソファ、グランドピアノなど……。
立派すぎる。青葉君みたいな人が密かに、ここでバンド練習している姿などを想像するが……やはり職員のメンタルストレスをのぞくためには、福利厚生も完備する必要なのか……。
テレビでは「ネルフっておかたい所だね(17話)」と加持が一人ごちていたが、この差は何故。
しかし、会社が社員のレジャーの面倒を見るというのは冷静に考えるとかなり気持ち悪い状況だ。まあ、町に何も無いような場所にある会社や研究所ならばそういう施設も必要かもしれないが、第3新東京市はなかなかに町としての機能をなしている。スタジオなどは、そこを使えばいいような気も……。これはネルフ職員のプライベートをも管理しようとするゲンドウのポリシー、なのか?
3・アスカとゲンドウ、再び第三種接近遭遇。
<証拠4号>
廊下でアスカがシンジの耳をひっぱっていると、向こうからゲンドウがかつかつとやってくる。
アスカ「あ、司令」
ゲンドウ「どうだね調子は」
アスカ「はい!! 順調です。4日後の決戦では必ず勝ちます!!」
ゲンドウ「そうか、期待している」
<検証>
前回は、テレビで冬月と交わしたシーンを使い回した(?)だけで、特にどうってこともありませんでしたが。
今回は、隣のシンジまで無視しての二人きりの会話。
テレビでは何故か、ゲンドウとアスカが同じ絵に入ることがありませんでした。アスカとゲンドウの世界は交わることが無かったのです。
しかも、23話では「囮ぐらいにはなる」と、非常な言葉もかけ、「ゲンドウはアスカが嫌いなのでは」とすら思えたほど。
ところがこのマンガのシーンを見る限り、アスカもゲンドウに特に悪意も無く、ゲンドウもまたアスカを「シンジ以上に」期待をかけているよう。
つらつら思うに、貞本エヴァには「大人があまり悪人らしくない」という傾向が強い。
テレビにでてくる大人は、非道な方々ばかりです。ミサトは私憤と使徒撃退をからめ、シンジに対する態度もどこか「偽善的」です。
リツコは隠し事ばかり、嘘ばかりついているし。ゲンドウに至っては……。
***
少し話は脱線しますが、エヴァに関する話は大概最初にリツコがする。最初、シンジの乗ったエヴァの頭が壊される時、リツコは「装甲が、もたない!」とおっしゃってました。
なのに、19話では「拘束具が!」と口にだし、「あれは装甲ではないの」と矛盾したことを告げる。
他にも、最初(3話? 4話?)ゲンドウ・レイ・リツコの三人でマルドゥックの報告書について、「まだ報告が無い」と会話をしていた。
それなのに、後では「マルドゥックは存在しない」ことになっていたり。上のシーンで嘘をつく必要は説くに無い、というのに……。
これら拘束具の話も、マルドゥックの話も、シリーズ開始後に変更を加えたが故、生じた矛盾、と私は見ています。まあ、理屈と膏薬は何にでもつく、と申しますから、筋の通った説明をしようと思えばできましょうが……。
エヴァは謎に拘泥しすぎると混乱するだけ、ということはもっと強調してもよいかと思います。
ともかく。
もうリツコの言葉は信用するなということです。
***
さて、貞本エヴァの大人の話に戻ると。
私が本編の中でやばいと思った最初の人物、それがミサトだった。ミサトはリツコに「いい保母さんになるわよ」と言われたりもするが、少なくとも、シンジに対する接し方は「保護者失格ね」という感じである。
最初にエヴァに乗せるときも非道、15話でシンジに「逃げちゃだめよ」と説教する辺りも「冷たいね、ミサトさん」という感じである。リアルと言えばリアルではあるが。
それに比べると、マンガの一巻のラストも二巻のラストもなかなか泣かせてくれます。ミサトもいろいろあるのだろうが、シンジに対しては本当に保護者として頑張っていると素直に受け取れる。
この辺り、貞本さんの大人像と、庵野さんの大人像の違いが現れていて今後も注目、です。
4・「アスカとシンジは異母兄妹?」
<証拠5号>
シンジはゲンドウに、一緒にご飯を食べようよ、と誘うが、ふられる。
後でアスカは部屋で「あんたファザコン?」とからかう。
それに対してシンジは、」
「……惣流だってお父さんいるんだろ? そっちはうまくいってるの?」
するとアスカは、
「あたしの父親は精子バンクでママが買った精子のひとつなの」
と激白。そして、
「精子バンクの中でも最高と言われているある天才科学者の精子があたしの父親なんですって」
……。
<検証>
とにかく、今回の目玉はここ。
アスカは試験管ベイビー……って、聞いてないぞ、そんなの。
そして、ここから生じる妄想。それは、
『もしや、その科学者ってゲンドウじゃないだろうな』
ありうる。
と、すれば。
テレビでは、綾波と兄妹(姉弟?)という関係ライクだったが。
もしや、貞本エヴァでは、
「アスカとシンジは異母兄妹」
という設定を押し通すのではという……。
イカン!!
もしそうならば。私の中の綾波像も、アスカ像も大きな修正をほどこさなけえばならなくなる。
「空想の中での理想の女」=綾波
「現実の中での最高の女」=アスカ
という構図を私は抱いていた。
すなわち、綾波というのはミステリアスの象徴であるのに対し、アスカはその設定はアイドル的天才美少女であるにもかかわらず、本質は勝ち気、我が儘、高慢を備えたわりと現実にいそうな人物。
綾波との関係は近親相姦的。
決して結ばれることの無い、精神的な女性像の存在。
アスカは、逆に肉体的魅力を備えた女性としての存在。
こういう図式を視聴者の多くも抱いていたと思う。
なのに。それなのに。
アスカまで、シンジとインセストタブーな世界に入ったら。
シンジの心の欲望は、どこへ行けばいいというのか? 迷える子羊、ストレイシープである。
そこで再び思い出す。貞本先生の言葉。
「マンガの綾波は人間です」
ということは。
貞本先生は、「神秘的な綾波」という一人歩きした世間の評価に反発して、「貞本綾波」として、作者の分身たるシンジとくっつけようと画策しているのやもしれぬ。
これは一大事である。
もし「ゲンドウ父親説」が事実であるのならば。
当然アスカとシンジは肉体的に接近することは叶わず、必然的に、精神的結びつきを求めるしかなくなってしまうではないか。
無論、綾波との関係でも取りざたされていたように、「そんなのどうにもなる」と言えばそれまでの話ではあるが。
しかし。
ではアスカと綾波の関係がイーブンになったら、果たして貞本先生はいずれを選ぶか。……綾波であろう。
「スキゾ・パラノ」のインタビューから見ても、貞本先生はかなり綾波にいれこんでいるご様子。少なくともアスカへの愛情と比べたら、その差は歴然。なにしろ「アスカはナディアの顔髪型変えただけ」という証言を某所でもらしたとも聞く。
そしてそして上の綾波人間説をとるならば。より一層、シンジが綾波と……という可能性は高くなる。
レイがクローンであるのは間違い無いとは思うが。
さすがに「レイは使徒」ってのはやらない感じである。
むしろレイを単なる「悲劇の人造少女」として、人間に覚醒してゆく姿を描くって方向にいく可能性もあり……。
そうしたら、「実は、シンジはユイの子供では無かった」とか、無理矢理設定をこじつけてでもレイとくっつける可能性も無いとは言えない?!。
……まさか……でも……。
私としては、最終的にはアスカがレイの持つ精神性の一部を身につけ、シンジとくっつくのが順当であると考えていた。
そしてレイは「希望の匂いを胸に残して」散ってゆく、と。
レイはまさに精神性に殉じ、その思いはシンジの中に、そしてアスカの中に、いや、みんなの心に残る、と。
少なくとも夏の映画はこんな感じで終わるのではと私は予想している。
しかし、もし「シンジ・アスカ兄妹説」があたっていたら。
もはや、それは……。
もしかしたら、「夏の映画ではシンジはアスカを選ぶんだから、マンガではレイを選んでもいいんじゃない」と貞本氏は考え始めたのかもしれない。
さて、君はアニメとマンガどっちを選ぶ?
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とはいえ、全く違う可能性もある。
何しろネルフは、研究者揃いである。
冬月という可能性も捨てきれない。
しかし、それよりも順当な人がいる。
「葛城博士」
そう、ミサトの父である。
葛城博士はS2機関の理論を構築した人だが、どうも、研究者としては不遇であったらしい。となれなれば、研究費捻出のため、精子バンクに精子を売ったという可能性は大いにありうる。
つまり、アスカとミサトが異母姉妹ということになる。お互いは既に家族は一人もおらず天涯孤独な身である。そこへ、二人のつながりが明らかになったら……なかなかいい話じゃないですか。
実際テレビ本編でも二人の中は姉妹のようでしたから。
私としては、これが一番順当ではないか、と思います。……ただそう思いたいだけなのかもしれませんが。
***
しかし、どうでも良いが、最後のエース編集部のつけた、欄外のコメント。
「本当の気持ちほど言葉にできないよね……」
センスなさすぎ。どうにかせい、って感じである。
P.S.エースの作品のほとんどは私にとっては面白く無いが、「私立樋渡高校COMICS」だけは好きだ。そのわずか12頁の空間はたっぷり濃い。赤面症の少女竜美もいい感じである。
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文責:moriver(f7152684@nv.aif.or.jp)(感想、叱責等、一言でもお願いします)
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