ケビン W. イングリッシュ
Covisint, L.L.C.
会長兼社長兼CEO

オートモティブ ニュース世界会議の前に行ったスピーチ
ヒルトン ホテル
チェコ共和国、プラハ

2001年6月25日

こんばんは。本日はお招きいただき、ありがとうございます。

勝ち組企業の皆様、おめでとうございます。特に、オートモティブ ニュース誌のウーマン オブ ザ イヤーを受賞されたルノーのマリー クリスティーン コーベットさんにお祝いを申し上げます。

また、このディナーにお招きいただき、お話する機会をいただいたシュバイツァーさんにお礼を申し上げます。それから、ご紹介いただきありがとうございました。

さらに、この会議を主催するオートモティブ ニュース ヨーロッパの皆様に感謝の意を表します。

さて、皆様。

私は今回初めてプラハに参りました。この町も人々もとてもすばらしい。滞在期間を2〜3日伸ばして、この町をもっと探索できたらいいのに、と思っています。

夜も遅いので、スピーチはできるだけ手短にするように努めます。それに、ボーグ ワーナー社が主催している、すばらしいレセプションから皆さんを引き離したままにしたくないですから。

私は、ケビン イングリッシュと申します。独立系の自動車業界向け企業間エクスチェンジCovisintの会長兼社長兼最高経営責任者です。

Covisintは、トップクラスの協働製品開発ツール、調達ツール、サプライ チェーン ツールを自動車業界に提供するために設立しました。これらのツールを使うことで、ユーザはビジネス運営におけるコスト削減と効率化を図ることができます。

単純そうに聞こえますよね。

そうであればいいのですが...

長年、このビジネス界は、新しいキャッチ コピーとコンセプトで活気に満ちてきました。企業間、言い換えるとB2Bは、もっとも脚光を浴びていて、議論の中心だったように思います。

少しの間、このことについて一緒に考えてみたいと思います。B2Bについて。

このコンセプトは、実質的には何千年も前から存在しました。エジプト人がシルクや高価な宝石をナイル川沿いで売買していたときから、B2Bは存在しているのです。おそらく、実際にはもっと前から存在していたでしょう。

しかし本日、皆さんはB2Bを再発見されたのではないかと思います。実際、B2Bは常に私たちの周りに存在しています。B2Bをこのような形で言及していなかっただけのように思います。

日常のB2Bにおいてこれまで主流だったものは、現在B2Bを行える方法を使用しています。今後、ビジネスマンが時間やお金のかかる出張や、遅くて煩わしい郵便、接続の悪い電話だけに縛られることはなくなります。

今日、通信は何千倍も向上しました。それは、インターネットの開発において物凄く進歩したおかげです。

わずか5年前には珍しかったインターネットは、今日、至るところにあります。そして、規模の大小や種類を問わず、すべての業界のグローバル企業のバックボーンになりました。

技術の進歩によって、インターネットはビジネス上の通信と対話を行うためのメディアになりました。

もちろん、インターネットは自動車業界にとっても必要なものとなりました。

それがどのように始まったか、今からお話します。

ご存知とは思いますが、1999年に、フォードとゼネラル モーターズが、個別に独立したB2Bイニシアチブを発表しました。これらのイニシアチブは、フォードでは「オートエクスチェンジ」、GMでは「トレードエクスチェンジ」と名付けられ、どちらも、インターネットの力を利用して、自動車メーカとサプライ チェーンのコスト削減と効率化を模索していました。そのコンセプトはシンプルなもので、オークションを中心とする調達アプリケーションと、協働e-コマースの初期段階、言い換えると、Covisintでc-コマースと呼んでいるものです。

オークションだけでは、業界全体の効率が大幅に向上しないことは明らかでした。せいぜい、資材調達のコストを削減できるくらいです。ですから、協働e-コマースへ進出することが、ますます重要になりました。

この2つの競合するエクスチェンジが登場してまもなく、自動車業界サプライヤ団体は、大きな断裂があることに気づいたのです。これらのエクスチェンジの目標がコスト削減と効率化であるとすると、サプライヤ、特に、ボーグワーナー、ヴァレオ、サジェム、ハッチンソン、シーメンス、ボッシュ、デルファイ、フロイデンベルグなどの大手1次サプライヤにとっての目的は何なのだろうか。全く異なるシステムを2つサポートしなければならなくなり、結局、GMとフォードの両方と付き合いのある大手1次サプライヤは、両方のイニシアチブをサポートしなければならないという不利な立場に置かれることになってしまうではないか。このことは、それぞれのシステムの異なるプロトコルをサポートするという、重複した努力を払わねばならないということを意味していました。

さらに困惑させたものは、もっと多くの異なるイニシアチブをサポートしなければならなくなるということでした。つまり、ダイムラークライスラーが独自のイニシアチブを立ち上げたら、他も追随するのは明らかだったのです。大手1次サプライヤはそれぞれ、独自のバージョンを作れたかもしれません。しかし、相異なるエクスチェンジの数は、すぐに自動車業界サプライ チェーンがサポートできる能力を超えていたでしょう。

コンセプト全体がスタート直後から崩れようとしていました。

幸運なことに、自動車業界サプライヤのリーダー達は賢明だったのです。彼らはフォードとGMを訪れて、「私たちがすべてサポートできる共通のプラットフォームを共同で作ることはできませんか」と言ったのです。

サプライヤの懸念を聞き入れて、フォードとGMはダイムラークライスラーと共同で、世界中の自動車産業向けに、コラボレーション、調達、サプライ チェーン マネジメント用の共通プラットフォームを作成するという前例のない発表を行いました。昨年最初に行った発表以降、ルノー、日産、PSAプジョー シトロエンがCovisintパートナーとして北米の同志と合流しました。

革命が始まったのです。

今日、自動車業界はわずか15か月前とまったく変わりました。

このジョイント イニシアチブが知られるようになるにつれ、Covisintは自動車業界で認められる勢力になりました。

今日に至るまで、私共は「力仕事」をたくさん行いました。昨年は、次のことを行いました。

• 最も有力な7社の自動車会社とサプライヤの個別要件をサポートできる組織の作成
• 詳細なビジネス計画の策定
• 熟練され、経験豊富な経営陣の雇用
• 米国連邦取引委員会と、それに相当するドイツの法的機関であるBundeskartellamtによる深くて広範な調査をうまく乗り越えたこと
• 自動車業界のニーズに対応する堅牢なアプリケーションの開発および導入
• 運用を開始して多大な収益を生み出したこと
• 北米、ヨーロッパ、アジアにおける存在感を強化して、重要な足跡を世界中に残したこと

私共の使命は明確です。この業界をつなぐことです。私共が歩んできた道は、けして平坦ではありませんでしたが、私共の成功、そして、私共がサービスを提供する業界の成功を確かに約束してくれるものです。

結果がすべてを物語っています。

現在、Covisintの株主には、世界最大の自動車メーカが6社います。それは、ダイムラークライスラー、フォード、ゼネラル モーターズ、日産、ルノー、そして、最近加わったPSAプジョー シトロエンです。この業界のリーダーたちは、Covisintを通じて提供される堅牢でスケーラブルで信頼性が高くて安全な技術を使ってサプライ チェーンで協働、調達、管理するために、ヴァレオ、サジェム、ハッチンソン、デルファイ、ナイター、ジョンソン コントロールズ、マグナなど、数多くの自動車業界サプライヤと一緒に参加しました。

私共が導入した技術やアプリケーションは、多大な成果を生み出しています。

今年の5月末までに、Covisintは次の成果を上げました。

• 250回以上のオークションを行い、取扱高は330億ドル以上
• 200冊以上のカタログに含まれる250万個以上のアイテムに関して、14,000回以上のカタログ取引をサポート
• 500ライセンス以上の協働製品開発および見積もり管理製品のライセンス登録
• 1,500ライセンス以上のサプライ チェーン マネジメント関連提供物のライセンス販売
• 1,000社以上の弊社イニシアチブへの参加登録

これらの統計は印象的なように思えますが、氷山の一角にすぎません。

Covisintは、まだ幼児期にいます。これから立ち向かわなければならない難題や機会はたくさんあります。仮にそうであるとしても、私共は前進していきます。

たとえば、私共はこれまでに、世界中のかなり多くの自動車メーカに参加するよう呼びかけてきました。北米市場では約80パーセント、ヨーロッパ市場では60パーセント、アジア市場では約40パーセントのシェアがあります。

もちろん、ヨーロッパのBMW、ポルシェ、フォルクスワーゲンや、アジアのトヨタやホンダといった企業がCovisintファミリーに加わることを歓迎します。両方の地域にある大小の自動車業界サプライヤについても同様です。

これらの企業がCovisintに加入すれば、Covisintの技術やアプリケーションによって同様に多大な成果を得られることがわかるでしょう。

おそらく、自動車業界は世界で最も要求の多い業界です。モデルの数と多様性、そして、毎年世界5,000万台という生産台数の多さは、たとえば、全体のサイズ、スケール、複雑さにおいて、エレクトロニクスや航空宇宙産業を凌ぐものです。

Covisintは、自動車業界におけるビジネスのやり方を革命的に変化させる代表です。このことは、日常行っている仕事のやり方を変えるということです。意思決定はより迅速になります。交渉はよりダイナミックになります。ミッションクリティカルな情報は、いつでも利用できるようになります。

最終的には、自動車業界に次の効果をもたらします。

• 製品開発期間の短縮によって、競争力が強化されます。
• 無駄が省かれ、効率と生産性が向上します。
• コストの削減によって、車1台あたりの潜在的な利益が増加します。
• お客様は、より幅広い選択肢から、より品質の高い、よりエキサイティングな製品を得られるようになります。

今日、自動車業界は、真のニーズに対応する製品を使用できます。競合が激しくなるグローバル市場において、これらの製品は、共通のステップとプロセスを複雑なビジネス プロセスに適用することでコストをコントロールし、真の価値をお届けする手段です。

Covisintは成長と発展を続けながら、自動車業界が自社のリソースから解放され、付加価値の高い活動に集中し、グローバル市場の競争において優位な立場になれるようにいたします。

これこそが、Covisintが自動車業界にもたらす、真の、そして重要な価値なのです。

これこそ、私がCovisint、すなわち、世界の自動車業界を代表する革命的で有益なエクスチェンジの一員になって本当に良かったと思っている理由です。

ご清聴ありがとうございました。