僕が初めて男性を意識したのはいつだったのだろう?
記憶は定かではないが、小学生の頃に既に男の体に興味を持っていた気がする。
発育の良い同級生の膝の上に乗ったりして、ちょっとドキドキしたりしていたし、プールとかになると自然に股間に目が行っていたと思う。
でも、この頃はまだ女の子を好きになっていたような気がする。
小学校4年生のときに兄(当時中学1年生)に、初めてエッチな本を見せてもらって、無茶苦茶興奮した思い出がある。
それからしばらくして、オナニーを憶えてしまった(おかげで僕は夢精の経験がない)。
性的には結構早熟だった。
中学の頃は、先輩とか、だんだん男らしくなっていくから、なおさら男の体に対しての憧れは強くなっていった。
いわゆる恋愛は女の子に対してしていたけれど。
中学の頃って、男同士でじゃれ合ったりっていうのがあるけど、そういうのをしたり見たりするだけで無性に興奮していたなあ。
それに何だか切なくなった。
勃起していたかどうかは思い出せないけど。
初めて男の子に恋愛という感情を抱いたのは、やはり高校3年のときだと思う。
この時、良く遊んでいた友達の事を好きになってしまった。
紛れもなく恋愛だったけど、これは単に憧れだとか、友情だとか、必死に言い聞かせてた。
でも、肉体的なものはそれほど強く求めてなかった気がする。
「渚のシンドバット」って映画を見た時、自分の高校の頃思い出して、ものすごく切なくなった。
あー、こういう気持ちってあったなあみたいな。
何気なく肩がふれあうだけでドキドキしてしまったり。
側にいて、一緒に笑ってるだけで良かった。
そんなピュアな時代もあったのさ・・・フッ。
高校以降は完全に男の方ばかり見ていたけれど、でも、自分自身ではまだ認めてなかった・・・自分がゲイである事を。
認めざるをえなくなったのは一年間の浪人生活の中だった。
僕は地元を離れ、名古屋で寮に入り予備校生活を送ったのだが、同じ高校の同級生も同じ予備校に来ていた。
彼は高校時代からとっても良いやつで、遊ぶ機会はあまりなかったけど、同性からもカッコ良いと認められてるやつで、僕なんかは少し遠くから見てるだけだった。
その彼と、一年間、予備校でほとんど毎日行動を共にしていた。
たまたま、取った講義が同じだったからなんだけど・・・。
僕が彼に恋するのは時間の問題で、ホントあっという間に恋に落ちた。
講義中、居眠りしている彼の方をじっと見詰めてしまったりしていた。
夏が近づくにつれてその想いは強くなり、クーラーの効いた部屋の中で思うのは彼の事ばかり。
そして、自分の中ではショックだったんだけど、彼とセックスしたいという思いが強く強くなった。
オナニーしても思い浮かべるのは彼の事。
日記を見ていたら、その頃は無茶苦茶悩んでいた事が分かる。
何とか、この気持ちを正当化しようと苦しんでいた。
悩んで悩んで苦しんで、疲れた僕は諦めた。
僕は普通だと思うのを。
それで楽になったかといったらそんな事はなかったけど、後ろめたさは少し減った気がする。
でも、こんな状況で、よく大学受かったもんだ・・・。
この頃、名古屋にハッテン場があんなにたくさんあるって知らなかった(と言うか、ハッテン場という概念がなかった)から、何とか勉強できたんだろう。
もし知ってたら、通ってたに違いない。
はまってたに違いない。
そのくらい、予備校生活はきつかったから。
彼に対する気持ちをもてあましていたから。
唯一、楽しかったと思えたのは、この年公開された「ジュラシック・パーク」を観に行ったときだけだったからな。
大学生になって、新しい生活が始まって、部活動を始めた僕は今度はその部活の同級生の事を好きになっていた。
つらいなーとは思ったけど、でも、予備校時代ほどではなかった。
そんなある日、ふと立ち寄った古本屋で、何気なく目に入ったのがゲイ雑誌だった。
ものすごくドキドキしながら、人目を気にしつつ本を開いた。
グラビアをみてあっという間に体が熱くなった。
あ、これだって感じ。
何冊かあった雑誌を次から次へと読んで、興奮覚めやらぬまま本屋を出た。
これから先、僕はゲイ雑誌を買おうと本屋巡りをして、雑誌やビデオを買う生活が始まった。
そしてきっと、雑誌を買うようになって初めて、自分はゲイなんだという概念が生まれたと思う。
それはものすごく居心地が良い感じがした。
この先、僕はなぜ男を好きになるのかと悩む事はなくなった。
ノンケを好きになって悩む事はあってもね。
この頃はまだ部活動をしていて、好きなノンケも近くにいて、それで何となく満足していたかもしれない。
ゲイバーなんかの場所も調べて、前まで行って、でも入る勇気がなくて帰ってくるなんて事もしょっちゅうあった。
大学二年になって大きく変わったのは、部活動が苦しくて、なんの楽しみも無くなっていた事だった。
同じ学年の好きだったやつが部活動をやめてしまった頃から何となくこうなる事は見えていた気がするけれど。
義務感だけで部活に行く毎日。
苦しい時、その好きだったやつを見たら、そいつは他のやつと楽しそうに笑っている。
その時、僕の心は嫉妬で燃えたぎってしまっていた。
ホントにおかしくなってしまう、そう思って、僕は部活動をやめた。
夏の暑い日、僕はそいつに対する強い思いをもてあまして、ただひたすらに歩いた。
でも、彼に求めるわけにはいかない・・・。
そう思った僕は、雑誌に載っていたハッテン場に行く事を決意したのだった。
つづく