私。
多分3人めの私。
全てが終り、現在の私は新しい部屋をもらっている。
呼び鈴の音。もう無くなった前の部屋と違って、ここは音が鳴る。
鳴らなくてもいいのに、鳴る。
玄関に出る。
ドアを開ける。
「綾波‥‥‥」
この人知ってる。
碇君。
‥‥私が一つになりたいと願った人。
サードインパクトは碇君が人の形を取り戻すことを選んだことで終った。
私は碇君と元弐号機パイロットに遅れること10日で再び人の形を得た。
そのころには他のヒト達は自分の姿を取り戻していた。
‥‥‥私は人でないモノ‥‥だった。
‥‥‥ヒトの姿をした肉‥‥だった。
‥‥‥碇君が私をヒトにしてくれた‥‥‥のだと思う。
ヒトの姿を取り戻さなかった人達もいる。
別にどうでもいい。
碇司令は帰ってこなかった。
でもなぜ私はここにいるの?
もう必要ではないのに‥‥
「アスカが僕のことを許してくれないんだ」
アスカ。弐号機パイロットの名前。
胸の奥が奇妙にうずく。
「あなたはそれを言いたくて私のところに来たの?」
「‥‥そうだけど‥‥綾波と一緒なら楽しいかなっ‥‥て思えたから‥‥」
碇君は下をうつむく。
彼の瞳は私を見ていない。
あの人と同じ。ふとそう思う。
碇司令と。
「アスカさんに構ってもらえないのが辛くて、私のところに来たのね?」
「違うよ!」
「何処が違うの?」
聞かなければならない。何故かそんな気がする。
「違う‥たぶん、違う気がする‥‥」
碇君の心が見えない。
‥‥違う。見えないんじゃない、私は見たくないの。
‥‥‥見るとココロがイタくなるから。
『でも僕はもう一度逢いたいと思った。その気持ちは本当だと思うから』
彼が逢いたいと望んだのは、私ではなかった。
‥‥‥求められていないのに、私はなぜここにいるの?
「アスカが僕を許してくれないんだ。綾波なら‥‥わかってくれると思ったんだ!」
「それは、あなたの勝手な思い込みよ‥‥」
「綾波は僕のところに来てくれたじゃないか。ゼーレとの最後の戦いのときも。サードインパクトのときも、ずっといてくれたじゃないか」
「僕には綾波が必要なんだ!」
碇君は私にそういうことを言う。私の肩を掴む。私に何を求めているの?碇君‥‥‥。
赤木博士。私を育てた人。私を憎んだ人。あの人は碇司令を見ていた。
でも碇司令は私を見ていた。だから私は憎まれた。
でもその瞳の中にいたのは本当は私ではなく‥
なぜ私は碇君を見てこんなことを考えるの?なぜ?
私は‥‥
私は心がイタい。
人形だったら心がイタまないのに。
そう思ってしまう自分に気がついてしまう。それはとてもつらいこと。
「碇君。私をあなたの人形にしないで」
「綾波!」
「私は碇君の逃げ場所になるためにもどってきたわけではないのよ」
「‥‥わかったよ、綾波‥‥綾波には僕が目障りなんだ‥‥もう、僕は帰るよ‥‥」
‥‥碇君はそう言って出ていった。
いいえ、あなたは何もわかっていない。
ぽた。
水滴が手の上に落ちた。
「これは涙?‥‥私、泣いてる‥‥なぜ‥‥?」
ぽた、ぽた。
涙が静かに頬を流れ落ちている。
「心が痛くて‥‥‥悲しくて、泣いているのね‥‥私‥‥‥」
こんにちは、怪作と言います。へぼいエヴァ小説書きです。今回どういうわけか、The Remains of Another Worldの14000ヒットを偶然踏んでしまい、何か書いてみなくては、と思って書き上げたものがこれです。
この話は一応映画の続きという設定です。それで、内容ですけど
‥‥レイが可哀想です。シンジは情けないし。一応僕はシンジ擁護派なんですけど、シンジ君が酷い男になってますね。
これを読んで気分を害した方は、nobuさんの小説で是非心のリハビリを!