Remains 10,000  T E G A M I

 

 

 

 

 

碇君から手紙が来た。

以前の私だったら見落としてたかもしれない。

これも、碇君のおかげ。

郵便受けのものはいつも目を通すように教えてくれた。

命令されなかった。

けれど、言われたとおりにした。

でも、つまらない。

そう言ったら碇君はにっこり微笑んでこう言ってくれた。

 

『じゃぁ、綾波、僕が手紙書いてあげようか。それなら、見る楽しみがあるかもしれないよ。』

 

 

 

 

あれから3日‥‥‥来ない

4日‥‥‥来ない

5日‥‥‥来ない

6日‥‥‥使徒が来た

7日、8日、9日‥‥‥来ない、来ない、来ない‥‥‥

碇君、どうして‥‥‥

 

 

 

学校の帰り、あの人がまた碇君をいじめてる。

後ろから見てたら、あの人が来た。

 

『優等生!なに、じーっと見てんのよ!』

 

私は答えた。

 

『碇君をいじめないで』

 

あの人、あの顔で‥‥‥いつも、碇君をいじめるときの顔。

 

『あーあ、お熱いことで』

 

あの人の言うことよくわからない。

 

『何?』

 

あの人はそのまま帰った。

帰り際、碇君、笑顔をくれた。

うれしい。でも、わからない。

なぜ、手紙が来ないの?

 

不安‥‥そういうものが私のこころに入り込んでくる。

不安?‥‥よくわからない。

 

でも、そんなこと、どうでもよくなった。

郵便受けから一通のぞきかかっている。

 

うれしい‥‥‥この気持ちはよくわかる。

 

 

 

 

今日は10日目。

碇君から手紙が届いてる。

 

 

〜 Fin 〜


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