【わたしの人生訓】風のように日本画家・中島潔氏(55)
[1998年09月24日 東京夕刊]

 七年間描き続けた源氏物語がついに完成。画業三十周年記念として個展「夢童から源氏物語五十四帖」(日本橋三越本店、十月二十日−十一月一日)を開く。よく私の絵には風が吹いているといわれる。“風の画家”という呼び名もちょうだいした。幼いころから風が好きで、いつしか自分も風になりたいと思うようになった。

 放浪が始まったのは十八歳の時。母を亡くし、故郷に別れを告げた私は、伊豆・下田で温泉掘りの仕事についた。民宿の六畳間に男五人で寝起きしていた。何の希望もなく、ただ生きていければいいと思っていた。むなしさは次第に濃さをまし、思いあまって絵筆をとった。その後、上京して広告の世界に飛び込み、フリーで絵をかき始めた。あこがれのパリで、“もぐり”の学生として美術学校に通った時期もあった。

 友人は風の画家の由来を「お前の生活態度が風のようにふらふらと気まぐれだからだ」と言う。今また、故郷の佐賀に舞い戻ってきた。終のすみかにはならないだろうが、風のように自分らしく、前へ前へと生きていきたい。

 なかしま・きよし 日本画家、雅号は梅吉。昭和18年、佐賀県生まれ。ほのぼのとした童画、繊細な女性画が有名。全国各地で80回以上個展を開く。ボローニャ国際児童図書展でグラフィック賞を受賞。

 色紙を1名に贈呈します。希望の色紙名と、住所、氏名、年齢、「宗教・こころ」面の感想を書いて、〒100−8078産経新聞宗教班へ。

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