キリスト教の祝祭日



イースター・カードより
キリスト教では毎年どんな行事があって、クリスマスとはどのように関連しているのでしょうか。

キリスト教の「教会暦」には、いろいろな祭式が年間を通して配分されていますが、大きく見ると、キリストの「降誕」「復活」という2つの大祝祭を柱に構成されていて、その間に他のお祭りが入る形になっています。

典礼・儀式を簡素化しているプロテスタントでは、いくつかの記念日を除き、祝祭は「降誕祭(クリスマス)」と「復活祭(イースター)」の二つだけです。

ここでは、カトリックの祝日を中心に、ユダヤ教の代表的な祝祭、キリスト教に関係のある各国のお祭りも一緒にまとめてみました。

* 以下の文は書籍などを参考に、日付順に再構成・補足したものです。
* 画像は、記事内容に合ったものを適宜挿入しました。

 
 


● 1月〜3月

「降誕祭(クリスマス)」が終わり長い冬が始まりますが、この間にもいくつかの大切なお祭りがあります。




過越しの祭
1月14日[ユダヤ暦](ユダヤ教)

旧約聖書の出エジプト記によると、イスラエル人は420年の間エジプトで奴隷のような生活を強いられていました。エホバの神はモーゼに、イスラエル人の門口に小羊の血を塗らせ、夜に神の使いをおくって、その印のある家は「過越し」て、ない家に住む長男をすべて殺させてしまいます。その結果、イスラエル人はエジプトを出ることが出来ます。

「過越しの祭」はこの日を記念するお祝いです。旧約聖書の故事にちなんで小羊を食べるのがならわしで、毎年八日間祝われます。ユダヤ教の大祝日の一つです。

1953年のセシル・B・デミル(Cecil B. DeMille)監督の「十戒(The Ten Commandments)」という映画では、この神の使いは霧のような姿で描かれていました。




聖ヴァレンタイン・デー
2月14日(ローマ・カトリック)

セント・ヴァレンタイン(ヴァレンティヌス)が殉教したとされる日です。ヴァレンタインは三世紀ごろのキリスト教の聖者といわれていますが、その生涯の詳細な記録は残っていません。

この日は、ローマ・カトリック教会の祭日とされています。ドイツでは、不幸の日、運命の日になっていますが、アメリカ・イギリス・フランスなどでは、恋人を選ぶ日とされています。

ヴァレンタインの日には、恋人にカードをそえた花束などを贈ります。
ヴァレンタイン・カードはいろんな図柄がありますが、一番ポピュラーなのがハートをあしらったもの、キュービッドのものです。



聖パトリック・デー
3月17日(アイルランド・アメリカ)





● 3月〜4月

キリスト教の祝日の中で最も大切で盛大な祭日が、春に催される「復活祭(イースター)」です。この祭日までの数ヶ月が春季の重要な期間です。




謝肉祭(カーニヴァル)
四旬節に入る前の3日〜一週間(ローマ・カトリック)

カトリックで、復活祭前の四旬節に先立って行われる祝祭です。

四旬節は次の項にもご紹介する通り、復活祭前にキリストの受難などを思い返す時期で、肉食を断ち、懺悔、精進をする厳しい期間なので、その前に肉食との別れを惜しんで、底抜けに浮かれ騒ごう、というものです。

カーニヴァルという言葉は、ラテン語のカルネ・ヴァーレ(carne vale, 肉に別れを告げる)、もしくはカルネム・レヴァーレ(carnem levare, 肉を減らす)から起こったと言われています。また、carn は「肉」を表す語根で、カーネーション(carnation, 肉色の花)、インカーネーション(incarnation, 顕現)などの単語の一部にもなっています。

この祝祭の起源はローマ時代の冬至に農業神を祀ったサターネリア祭だと言われています。(クリスマスもこのお祭りの影響があると言われています)初期キリスト教の時代、教会は新しく信者になったローマ人を懐柔するために、彼らが持ち込んだこの異教の祭事を容認し、それがキリスト教の祝祭に変えたのだとされています。歴代のローマ教皇の中には、この異教の底抜けな大騒ぎを嫌ったものも少なくないといいます。

この行事には仮装、仮面行列がつきものです。「カーニヴァルの王」である張り子の偶像や道化師が見物人を笑わせ、通りの窓からは紅白の紙つぶてが投げられます。数日間の催しの最後には「万灯の催し」が行われ、手に手に提灯を持った人が互いの灯を消し合い、大騒ぎをするうちに12時の鐘がなると、街はうって変わって清らかな四旬節に入ります。

カーニヴァルの本場は、カトリック教徒の多い南欧で、イタリア(特にローマ、フィレンツェ、ナポリ)、フランス(特にニース)、スイス(バーゼル)などで、ニースのカーニヴァルは花合戦で有名です。

プロテスタントが多い国、地方では一般に行っていません。



四旬節(レント)
復活祭前の40数日間(ローマ・カトリック)
灰の水曜日〜枝の主日〜聖週間

復活祭を迎える心の準備期をカトリックでは「四旬節(レント)」と呼んでいます。それはあたかもキリストの復活に身も心もあわせるような改悛、懺悔、精進の日々となります。

「灰の水曜日」に始まる復活祭までの40日余り(正確には46日間)がそれで、カトリック教会が定めた悔い改めの期間です。

● 灰の水曜日
「灰の水曜日」とは、人間がやがて灰に帰すべきものであるという戒めの意味で呼ばれる名前です。この日、司祭は信者ひとりひとりの額に灰で十字架の印をし、「汝は塵であるから、塵に帰ることを覚えよ」と祈ります。

灰は、「地上のものは一時的なものである」という象徴で、同時に罪に対する悔い改めの徴でもあります。これを心にしまい、信者は生活の浄化をはかり復活祭を迎える準備に入ります。

この日を起点として、信者はキリストの断食、受難、死去を想い、自分自身や人の罪を悔やみ、肉食を断ち、祈りを続けて、復活祭でのキリストの復活に備えます。悔い改めの期間ですから、悲しみを表す紫色の衣服がこの時期に行われる儀式などに着用されます。国によっては、この時期に結婚式を行うのも控え、街中が質素で厳粛な雰囲気に包まれます。

復活祭一週間前の日曜日の「枝の主日」からは「聖週間」に入ります。

● 枝の主日、聖週間
「枝の主日」はキリストがエルサレムに入場し凱旋した記念の日です。「枝」というのは、エルサレムの民衆がキリストを歓迎するためにかざしたシュロの枝のことです。この日はミサに先立ち、枝の祝別式とキリストをたたえる荘厳な行列が行われます。

そして、この聖週間の最後の三日は、「聖木曜日(最後の晩餐の記念日)」、「聖金曜日(キリスト死去の記念日)」、「聖土曜日(復活祭前夜)」と呼ばれ、キリスト教の儀式の中でも、もっとも盛大な儀式が行われます。



復活祭(イースター)
春分の日後、最初の満月の次の日曜日(カトリック、プロテスタント)

イースターは、ゴルゴダの丘で処刑され三日目に蘇生したキリストの復活を祝う、教会暦で最も神聖な祝祭の一つです。死への勝利と神の愛、そして、霊魂は不滅だ、という信仰の現われであると言われています。

この日を「3月21日の後の最初の満月の次の日曜日」と定めたのは、325年のニケーアの宗教会議でした。実際の日付は毎年変わりますが、3月22日から4月25日のいずれの日かにイースターのお祭りがあることになります。こういう日付にした理由は、イースターの日を満月に近くすることにより、信者たちが教会へくる夜道が分かるように配慮したためだと言われています。

信者は上にもご紹介したように、この日までの約40日間、「四旬節」として精進と贖罪の日々を過ごし、この日には会う人ごとに「主は復活したまえり」と挨拶を交わします。

このお祭りの起源は非常に古く、チュートン民族がキリスト教に改宗する前から行っていた春の訪れを祝う「春祭(パッサヴァ)」の名残りを含んでいるとされています。

長い冬に閉ざされていた世界が、新しい春の訪れとともにいっせいに芽を吹き、生命を復活させる姿と、キリストの復活とが重なり、同時に厳粛な「四旬節」の贖罪の期間を通り過ぎてきた解放感とが一つになり、復活祭は主の恵みを体感する喜びに溢れる祝日になっています。


いろいろな楽しい催しなども行われ、欧米では冬から夏への衣更えの日でもあり、フランスではこの復活祭で2学期が終わり、二週間の休暇に入る日でもあります。

復活祭の楽しみと言えばやはりプレゼントの交換でしょう。赤・黄・青などの五色の「イースター・エッグ」や、なかにおもちゃの入っている模造エッグなどを贈りあいます。また、美しいイースター・カードも売り出され、カード売り場は人の出入りが絶えません。このカードはクリスマス・カード、ヴァレンタイン・カードと同じく、さまざまな図柄のものがありますが、卵を破って出てきたひよこやイースター・ラビット、美しい草花の絵が「復活祭」の心に合って親しまれています。



昇天祭
復活祭後の第七日曜日
復活祭後の第七の日曜日は昇天祭(主の栄光の記念)が祝われます。





● 5月〜11月

「復活祭」と「降誕祭」との間の時期にもいくつかの大切な祝祭日があります。中でも「聖母昇天祭」と「万聖節」は際立って大切なものです。




ジャンヌ・ダルク祭
5月の第2日曜日(フランス)



聖ヨハネ祭
6月24日(カトリック)

キリストの生誕6ヶ月前に生まれ、ヨルダン川でキリストに洗礼を受けた「バプテスマのヨハネ(St.John the Baptist)」の祝日です。聖ヨハネは聖母マリアとともに神の祝福を受けたとされ、その誕生日6月24日が祝日にされました。

イギリス、オーストラリア、デンマークなどではこの日を「夏至祭」として祝います。この前夜は「ミッド・サマー・イヴ」と呼ばれ、シェイクスピアの戯曲「真夏の夜の夢」はこのお祭りにちなんで書かれています。



聖母昇天祭
8月15日(カトリック)

キリスト教には「聖母被昇天」という信仰があります。キリストの母、聖母マリアには原罪(sin)がなく、そのため、原罪の帰結としての死の腐敗をまぬかれたその肉体は、霊魂と共に天国に上げられた、というものです。

1950年、この信仰はカトリック教会の正式の教義としてローマ教皇によって宣言されました。この聖母被昇天を祝うお祭りが「聖母昇天祭」です。

このお祭りの歴史は古く、アンティオキアでは四世紀頃から、パレスチナでは五世紀頃から行われ、西方カトリック世界では、七世紀ごろから現在の8月15日に行われるようになったと言われています。

カトリック教会の聖母信仰を最もよく表すものとされています。



ルルドの大祭
8月18日(フランス、カトリック)



宗教改革記念日
10月31日に一番近い日曜日(プロテスタント)



ハロウィーン
10月31日、万聖節の前日(スコットランド、アメリカ)

万聖節の前夜祭です。万聖節は正式には11月1日ですから、ハロウィーンは10月31日になります。

ハロウィーンのお祭りはスコットランドから始まり、ケルト人の信仰に起源があります。その昔ケルトの一年は冬から始まり、11月1日が新年の元日にあたっていました。従ってその前日の10月31日はいわば大晦日ということになります。

本来は収穫祭だったのですが、いつからか、幽霊や魔女が跋扈する不思議な夜だと思われるようになりました。

現在では、幽霊や魔女などを本気で信じる人はいませんが、当日にはかぼちゃやかぶなどをくりぬいた提灯(jack-o'-lantern)を作って、おもしろおかしく騒ぐ風習が残っています。アメリカで、子供たちがオバケや魔女、怪物の衣装を着るのもその名残りです。何人かが一緒にこわい人の家を訪ねて、「trick or treat? (いたずらかごちそうか)」と尋ねます。それに応えてお菓子や果物をくれたら何もしませんが、何もくれなければ、ひどいときにはメリケン粉などをぶつけられてしまいます。



万聖節
11月1日(カトリック)

正式には「諸聖人の祝日(諸聖徒日)」と呼ばれ、11月1日がその祝日です。現在では礼拝の関係で11月の最初に日曜日に祝うことになっています。

七世紀に、ローマ教皇ボニフェウス四世がローマのパンテオン(万神殿)をキリスト教の礼拝堂に改め、聖人たちを合祀したことから始まったといわれています。カトリックの聖人は有名無名の人たちを併せると大変な数になり、一年の日数では及ばないので、すべての聖人を崇め、その霊を祀る日を定めることにしたようです。

クリスマス、聖母昇天祭とともに、カトリックの最も重要な大祝日の一つで、信者はこの祝日のミサには何をおいても出席しなければならない、とされています。一年を通してお墓参りをする人の数が最も多い日で、日本の彼岸のようなものでしょう。



感謝祭(サンクスギヴィング)
11月の第四木曜日(アメリカ)





● 12月〜1月

「復活祭(イースター)」と同じく大切な「降誕祭(クリスマス)」の季節が始まります。




聖ニコラスの祝日
12月6日

イギリス、アメリカなどで「サンタクロース」の名で親しまれている聖ニコラスを祝う日です。聖ニコラスはスミルナの司教で、オランダ語のシント・クラウス(Sint Xlaes)がなまってサンタクロースになったと言われています。

* 聖ニコラスについての詳しいまとめは「サンタクロース」のページに書くことにします。

この祝日の前夜には聖ニコラスにちなんで贈り物を交換する習わしがあり、サンタクロースは贈り物を入れた袋を背負い、白いひげ、赤い服、長靴ばきの老人として物語に表現されました。

アメリカにはオランダからの移民者や清教徒が伝えて、クリスマス・プレゼントをする習慣と結合されましたが、ヨーロッパには、プレゼント交換はこの祝日に行い、クリスマスは静かに迎える、という国が多くあります。

また、「贈り物を入れてもらうため靴下をつるす」という習慣は、妹を養うためにいかがわしい仕事を余儀なくされた娘がいると聞き、不憫に思った聖ニコラウスが、その娘の家の窓からそっと金貨を投げ落としたところ、それが乾かしてあった娘の靴下に入った、という言い伝えから始まったと言われています。



光の聖ルチア祭
12月13日(イタリアなど、カトリック)



降誕祭(クリスマス)
12月25日(カトリック、プロテスタント)

クリス・マスは「キリストのミサ(聖餐)」の意味で、俗に書かれる X'mas の X はギリシア語のキリスト Xristos の頭文字です。mas はミサの意味で、鎮魂歌であるレクイエム(Requiem)なども デス・マス(Death Mas) と呼ばれたりしています。

この日はイエスがその日の未明に生まれたという昔からの言い伝えに基づいて、全世界のキリスト教が祝典をあげる日です。クリスマスは復活祭と同じく、キリスト教世界の年中行事の中で最大のものです。

今日の研究では、イエスの誕生は紀元前四年で、月も日も不明です。12月25日に生まれたという証拠は何もありません。それどころか、最初の降誕祝日は紀元200年頃5月20日に行われたということですから、半年ほど時期がずれていたことになります。それが現在の日付で祝われるようになったのはそれから一世紀あまりも下ってからだと言われています。

生年月日が不明であるイエスの降誕祭が12月下旬に行われるようになったのは、古くから多くの民族に共通に行われていた「冬至祭」、特にローマ人が行っていた年に一度の大騒ぎをするバンケット「サターネリア祭」を、キリスト教の祝日に置き換えたのではないか、と考えられています。このサターネリア祭は、北欧では宗教的なクリスマスとなりましたが、南欧ではカーニヴァルのお祭り騒ぎになっていたといいます。それを、325年のニケーアの宗教会議ではっきり12月25日をキリストの降誕日と定め、その日から1月6日の「公現祭」までの12日間をクリスマスの季節としました。「クリスマスの12日」というクリスマス・ソングはこの12日が背景にあります。
メシアとキリスト

メシアという語は「救世主」と訳されていますが、ヘブライ語の元の意味は「油を塗られた者」だそうです。ギリシャ語ではクリストス(Xristos)と言い、これがキリスト(Christ)という名の元になったと言われています。

元来イエスは「ナザレのイエス(Jesus of Nazareth)」として知られており、称号として Jesus the Christ と呼ばれていましたが、後にそれが Jesus Christ と固有名詞化しました。

また、「油を塗られた者」という意味についてですが、旧約時代には預言者、司祭、王などは、聖い油を塗る習慣があり、人類の救済のためにこの世に降誕したキリストは、上の全てを併せ持つ者として、神から油を注がれた救世主としてメシアと呼ばれたわけです。

語源的にはギリシア語 christs は、chriein(油を塗って聖人とする)+-tos(人につく接尾語) と分解出来、「塗油によって聖別された人」という意味になります。

メサイア(Messiah)はメシアの変形です。「ハレルヤ・コーラス」で有名なヘンデルの「メサイヤ」というミサ曲の題名がここから来ているのはご存知の通りです。

 
 

教会で行われる儀式は、クリスマス・イヴの深夜から翌朝にかけて会堂の灯火を消し、わずかなロウソクの光の中で行われるキャンドル・キャロルと、翌日のミサが主なもので、人々はあとは家庭内で意外なほど静かにこの良き日を送ります。夜は家庭はもちろん、ホテルでも、レストランでも、焼いた七面鳥や鵞鳥のクリスマス・ディナーがつきもので、テーブル越しに、向かいの席の人とクラッカーを引っ張り合って、爆音と共にどんなおもちゃが飛び出すか楽しんだりします。

この日に教会にヤドリギ(Holly)を飾ったり、友人に贈り物をするのはローマ人の習慣であったといいます。また、クリスマスにつきもののエゾ松やモミの若木に飾り付けをするクリスマス・ツリーは、八世紀ごろボニフェースというイギリスの僧がゲルマンに伝導した時、彼らが北欧神話のオーディンの神聖な木(カシワ)に人間を生け贄としてささげるのを知り、モミの木に幼児キリストへのささげものをつるして生け贄の代わりにしたことから始まっているということです。



ハヌカ祭
12月25日(ユダヤ教)



公現祭(エブファニー)
1月6日

東方の三博士(Mages)がイエスの元を訪問し、イエスが救世主として公に認められた日で、キリストがすべての人に救い主として公に現れたことを記念する「公現祭」が祝われます。このエブファニーをもって、クリスマス期間は終了し、人々は復活祭と共にやってくる春を待ちます。






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