教科における食に関する指導
01 Jun. 2007

 中学校1年生理科のうち「植物のくらしとなかま」の授業において、食材として使用されている野菜を植物の種類でわける授業を毎年行っている。
 当初のねらいは、理科の教科担任として、学習内容と日常生活との関わりを感じさせることであった。日頃食べている給食を教科の題材にとりあげることで、理科という教科が教室や実験机だけで終わるものでないことを意識させたかった。この授業を行ってみて、当初のねらいと同時に、日頃食べている給食について関心を持たせる意味で、効果を得られたと考えている。
 本校の生徒は自校の給食室で調理したいろいろな料理を食べている。季節ごとの食材を生かした献立やG県K市の特色を出した献立(例えばキムチやにんじんゼリーなど)を毎月検討しており、その甲斐もあってか残菜の量は少ない方だといわれている。しかし料理の好き嫌いを聞いてみると、嫌いな野菜をいくつも挙げてくる生徒もいる。これからの願いとして、生徒には食に関心をもってもらい、毎日の献立がいかに健康と食べる楽しみを重視して作られているか意識させることでさらに食べ残しや偏食を少なくしたい。

 身のまわりの野菜について、植物の体のうちどの部分を調理して食べているかを考えさせた。この授業では、葉の表面・茎の断面・根のつきかたなどの特徴をもとに、ある食材が生物学でどの分類群にあてはまるかを考える活動を設けた。ここでは調理された葉や根などの一部から、その植物の特徴を見つける力を問われる。ふだん給食や家庭の食事で調理されたものを見ている野菜や果物だが、実際の授業ではまず料理に使われているのが植物の体のどの部分なのか、葉を食べているのか根を食べているのかということを思い起こさせるところから始まる。
 野菜によっては、この段階で即答できない生徒が多く出てきた。後日定期テストでも給食の献立を問題に出したが、特に正答率が低いのはトウモロコシやタマネギのように、植物のごく一部を食材として利用しているものだった。ダイコンやニンジンのように植物の体の一部(この場合は根を食べている)を利用しているということを意識しやすいものほど、生徒の意見が出やすい。教科の内容に対してつまずく生徒を少なくしようと、話題に出す野菜としてはまず各務原市の名産でもあるニンジンを例にとって考えさせた。意見が活発に出るのを確認してからさまざまな野菜について考えさせるようにし、1時間または2時間の授業の中で給食献立表で紹介されている野菜をすべて扱えるのを目標とした

 ノートやテストの反省から生徒の感想をみると、植物の分類が苦手な生徒でも「これからもっといろいろな野菜を調べてみたい」といった感想がいくつかみられた。また、給食時間のようすからも「きょうのスープの中の野菜はこの植物と同じ仲間だね」と会話に出ることがあった。給食の献立を題材としたこの授業は、理科の授業への姿勢とともに、食への関心もある程度向上させられたと感じている。
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