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  アイビー・リーガーの悩み(ニューヨークの学校事情 その2)
     
 
このNYNYのページが高校の話で始まったので大学の話もいずれするつもりでいた。が、授業の話や入学の話をしても面白くないので、今回はアイビー・リーグや他の一応「有名」校にまつわるお話。
     
         
         
  Miracle Gene?      
 
どんな大学でも学校で出版している大学新聞みたいなものがある。うちのはColumbia Spectatorといってなんと日刊である。こんなん編集してて授業でまともな成績をはじき出せるのかは不明。ただ内容は「ほぅ!知らなんだ」というのも極たまにあるが、殆どがどっちでも良いいいかげんなニュースや学校内のコロンビアの3つのカレッジと付属の女子大バーナード大(っていっても授業は皆一緒)の言い争い。

で、そんないいかげんな内容の新聞でも毎日無料の新聞を刷るには広告がいる。大抵、大学付近のコピー屋他の割引・セールなんかが提供者だが、求人広告に絶対載っているのが「Egg Donor」の募集広告。しかしここでいうEggとはトリの卵ではなく人間の、つまり卵子のこと。読んでみると「アイビーリーガーの健康な女子学生の卵子求む」と書いてある。たまに卒業生夫婦が「白人のユダヤ教徒で背丈5フィート8インチ、ブルネットでスポーツ選手のコロンビア生募集」なんて細かい注文つきの広告もあるが、ほとんどがただ「健康」であることと「アイビー・リーグ」の学校に在籍又は卒業している事しか述べていない。

肝心の依頼費だが7000ドル以上が相場なようだ。学校にもよってイェールの学校新聞には一度数万ドルという広告が掲載されたそう。私はどれだけ学費ローン地獄に落ちようが自分の遺伝子を持った人間がしらない場所で育っているなんて耐えられないので絶対参加したくないアルバイトだが、人によってはそういうのが平気な人もいる。先学期、今学期と同じ授業を取っていて真っ青の目の美人Vちゃんは授業の前にクラス中でこの広告の事を話していた際に「えぇ、卵子あげるだけで妊娠も出産もせんねんたら別に平気」と言っていた。親に頼らず自費で年間2万ドル以上の学費を稼ぎ出さなければならない人の中には「ストリップするより」という感覚で参加している人もいるよう。

私がこの広告をみていつも思う事はこのアイビーリーガーの遺伝子を求めて高額な依頼金を出す依頼人はアイビーリーガーがどんな奴らなのかわかっているんだろうかという事。もちろん入学の条件が難しいだけにとても優秀な人にぶつかる割合は高い。しかし、勉強が出来たって「賢い」という証拠にはちっともならないのが現実。SATや他の共通テストで満点近く取ったって、常識のない人なんていっぱいいます。

マンハッタン生まれのマンハッタン育ち。お母さんはNYU出身の小児科医、お父さんはアイビー出の弁護士、おばあちゃんは映画評論家というLちゃんはなんと17年間NYCに住んでいながら地下鉄に乗ったことは一度もありません。アッパーイーストサイドからの通学もタクシー。よって「自分の生まれ育った市の地下(私に言わせてみればNYCの土地半分よ)も知らない=他の文化なんてわからなくて当然」という態度の無知な女の子に成長しています。そんな彼女でもアイビー・リーグに行ってるというだけでドーナー有望候補なのです。

(余談:Lちゃんはまだましなほう。教授軍が毎日電車で通勤してる中、リムジンで送り迎えのJAPちゃん()達も沢山います。ちなみにニューヨークで聞くJAPっていうのは日本人がよく勘違いしてしまってるJapaneseをけなした言い方ではございません。もし耳にして「あ、あたしの事いってる?」と思ったあなた、ただの誤解よん。詳しい説明(?)は下の*を見て下さい。)

ま、学校名だけ買っちゃってる依頼人も依頼人やけど、卵子提供って「痛い」そうだからそんな1万ドルぽっきりじゃ1年間の学費にもならないんやから損な仕事だと私は思うね。
     
         
         
  Say No to Plagiarism      
 
話はかわって今度は全米の学生がからんでいる「仕事」。アメリカの大学の授業(特に文化系)は1学期内に8〜10個のペーパー(小論文)を要求してくる。(クラス、大学にもよる。下級のクラスは3〜4項ずつ。上級生になるほど数が少なく項数が増える)そこでたま〜にペーパーを2つ印刷して提出しろという教授(Ph.D−博士課程の生徒が教えている授業などに多い)がいる。殆どの教授はコメントを書いて返す為に1つ、クラスに例としてまわす際にコメントの書いていない分をコピーできる為にもう1つという理由で2部のペーパーを集める。

しかしそうでない場合、毎回私の頭の中を嫌な考えがよぎってならない。Plagiarism/Cheating(カンニング)用に売られているんじゃないかと。実際NJの大学で近所のおっさんが何十ドルという値段でペーパーをさばいているのを4チャンのニュースでやっていた。インターネットでもペーパーは売っている。私は親友でもカンニングしてたら絶対告げ口する嫌ぁなタイプだけあって、どの類のCheatingも許せないし、人様の書いたペーパーでAを取るなら勉強せずに自力で書いて取ったB+の方が断然ましという考えの持ち主であります。で、卵子同様、アイビー生のペーパーとなると桁違いで売れるそうなんですな。実際うちの大学生が自分の古いペーパーをよその大学で売ってるのが発見されてますから。ひとつ何百ドルだそうです。(公立の1クラスの授業料やで...)先学期取った英文学の先生が今学期はハーバードで教えていて、クラスの最後に「あ、俺来学期はハーバードやからそこで君らのペーパー売ろっかな」とか冗談をこいていた。私らクラス一同はどう考えても笑えないジョークを彼が去ってから皆で真剣に話あってしまいました。ハーバードの学生の方、Wilfred Owenの Dulce Et Decorum Estのペーパー売ってたら多分私のです。(涙)カンニングは授業料の無駄です。やめましょう。
     
         
         
  Who Says That We're Promising?      
 
最後のアイビーリーガーの悩みは学費。もちろん馬鹿高いのは知れてるが、奨学金が出難い事は通ってみるまでわからない! 学士号は政府に言わせると「必要な過程」なので政府が卒業まで利子をうけもってくれるローンや収入に比例して計算したGrantがもらえる。しかし院になると政府には頼れない。そこで殆どの学生が各学校の奨学金にたよって長い博士課程を歩む。が、アイビーリーグはそれもきっつい。学生が入学したがっているのがわかっているから超鼻高々!コロンビアでは博士課程の建築学専攻者にでる1年間の奨学金はたったの1万ドル程度(成績により個人差あり)。そんなんじゃ生活費はおろか学費にもならない。よっぽどの優秀な人物か、または企業の奨学金なしでは簡単に卒業できそうにない。学校側の理由としてはコーネル、イェール、コロンビア共々(ハーバード+他校5校は知りません)「卒業したらアメリカ一の収入をもらうんだから、ローン組んでもすぐ支払い返せる」というもの。

しかし文化系の博士号なんかとったら教授になるか研究者になるのがパターンなので高給取りになるわけじゃなし、そう簡単にローン地獄に足を踏み入れられない人もいる。ビジネススクール(でもこれはNYとかLA等の仕事のありそうな大都市だけかな)、医学院、法学院など卒業後に高収入の仕事が待っている人には簡単かも。でも医学院なんかいったら4年して卒業してもインターンを過ぎて一人前になってやっとこさ高給とりになれる。しかし一人前になるまでにはもうすでに40歳近くになってるんやから返済に苦労しそう。

クリスの職場にコロンビア大学出身で英語と演劇の修士号を持っている派遣社員のおじさんがいました。俳優を志望しているので短大で英語を教えてたのを辞めてバイトとオーディションを行き来しているそう。45歳である。いまだに彼は学費ローンの返済に追われているとか。ま、このおっちゃんは多分演劇の才能ないだけやと思うけど、やっぱり分野によるんやから奨学金、もっと出して!!!!


(*)JAPとは Jewish American Princess(勿論時にはPrince)の省略。ユダヤ系の白人の女の子(男の子)。ものすごいお金持ちでワガママなのが特徴。「えぇ、あんたんとこパリにアパート(「ハンプトンズに別荘」も可)ないの?」なんて平気で庶民に言う。流行のもんなら何でも所有している。日本人の女のこ並みの格好をお小遣いを貯めて買うのではなく、余裕で何でも買っちゃう。大学一年生のくせに自分用のBMWやポルシェに乗ってるなら間違いなく彼女はJAPだ!(ちなみに上に登場したLちゃんもユダヤ教徒だからJAPにあてはまるね。)

このページは2000年に書いたものです。
     
 
 
 
最後にこのページをいじったのは2004年 1月1日。
 

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