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  ニューヨークの学校 その1(高校編)
     
 
私は20歳の留学生としてアメリカに来たので勿論アメリカの高校には通った事はない。では知らんくせに何故書くかというとニューヨークにきてからアメリカの公立高校についての事実を知ったから。はっきり言ってアメリカの義務教育の水準がアジア・ヨーロッパ諸国に比べて劣っているのは有名だ。ニューヨークも例外ではなく、たいていの市内の公立高校は出席率が低く、新入生受入時にサボる生徒数を見込んで実際に学校に備えられている机の数より多い生徒数を取る学校まである。(例としてマンハッタンのケネディー高校)公立高校に入学するにあたって日本の様に試験もないから個人でしっかり将来何がしたいのか希望を持たない子は学校の制度に比例してだらだらしている。

という情けない制度の中、へんな大学よりも全米で有名なニューヨーク市立の高校がある。それはスタイヴァサント (Stuyvesant High School)、ブロンクス・サイエンス(The Bronx High School of Science and Mathematics)、ブルックリン・テク (Brooklyn Technical High School) の3校(以後特別3校と呼ぶ。) いずれも公立高校ながら数学、英語の入学試験がある。受験生は3校共一の試験を受け、結果によりどの学校に入学できる権利があるか(成績が良い場合3校全てに合格出来て、その中から選ぶ権利が与えられる)が記した通知をまつ。なぜ子供もいない、高校留学もしなかった私がこれを知っているかというとクリスはブロンクス・サイエンスの卒業生。

他に私立の有名な高校エクセター(Phillips Exeter Academy)等も勿論存在するがこのニューヨークの3校の特別高校を私が何故とやかく言うかというと、この3校は他の公立高校と同じく授業料が無料だからだ。お坊ちゃま・お嬢ちゃま校のエクセターの様に年間何万ドルという費用を親に出してもらってアイビー・リーグに行けるのは当然。しかしこのNYC特別校に通う子供はお金はないけど知性、可能性そしてやる気だけはニューヨーク1の生徒達。

クリスの高校の同級生でアイリスというお友達がいて名門コーネル大学医学部を summa cum laude(*)で卒業したが彼女曰く、「死ぬ気で毎日勉強せなあかんかったけど高校の時程楽しい時はなかった。」彼女はアメリカ全土の高校生を対象に行われるウェスティングハウス奨学金(現インテル奨学金)と呼ばれる科学のリサーチコンテストの準決勝進出者でもある。この参加者数が教育水準の高さの「めど」とされている中、アメリカでも公立高校で毎年10人以上もの多くの準決勝進出者を生み出すのはこの3校だけである。

その高校が実際にどう違うのかというと、ニューヨーク州の高校教師になるためには修士号が必要だが、特別3校では博士号をもった教員がほとんど。もちろん公立高校の場合全てが政府が割り当てた予算に基づいて運営されるのでそんなちょっとのお金ではまともな施設が整わない。そこでノーベル賞受賞者を含む各界で有名な卒業生の任意の寄付金、企業が税金の支払いを減らす為にする寄付金などからコンピュータ室などの大きな施設が建てられている。ブロンクス・サイエンスの変った授業の例としては化学の1つとして「アンティーク家具の復元」がある。どういう薬品がどのような素材と反応してどういう効果をもたらすかというのを実際に家具を復元しながら化学的に分析するというクラス。 リベラル・アーツで有名なスタイヴァサントは日本の進学率が高い名門校と同じく残念ながら生徒の自殺率が高い事でしられているのも事実。

しかしアメリカで(それもニューヨークで)高水準の高校教育が無料で受けれるなんてちょっと考えなかったでしょう?ニューヨーク市内にお住まいでお子さんがおられる方は要チェック!

*:大学で成績優秀者に与えられる称号 summa cum laude とはラテン語で "with highest honor"(最優秀) 意味し、GPA(Grade Point Average) でどの学校でも約3.86(4.00満点中:コーネルは変っていて4.5が最高点)以上ないとこの栄誉は卒業証書には示されない。これに続いて magna cum laude (約3.68以上)、 cum laude(約3.5以上)が成績優秀者として記録される。

このページは1998年に書いたものです。
     
 
 
 
最後にこのページをいじったのは2004年 1月1日。
 

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