アメリカ的いぬの生活 その十一
「ポチと賃貸マンション、お巡りさん」
ポチを生後8週間でもらった頃、私たちはアメリカに来て、まだたった一ヶ月半ぐらいで
英語だって自慢じゃないが、さっぱりわからーん状態だった(笑)。
なんとか、シェルターでは、英語でがんばってコミュニケーションしたが、ポチを
無事、我が息子にすることができたのは奇跡かーなんつって。
ポチに出会う前に、住む賃貸マンションはすでに決めてあった。なんせ一体
何年アメリカにいるかわからないし、日本人としては、「家は借りるもの、マイホーム
は夢のまた夢さ、フッ」ってな感覚だったから、なんの疑問もなかった。
郊外の賃貸マンションは、わりとペットO.K.のところが多かったが、にゃんこだけー
とか、わんこの大きさに制限があったりするところもかなりある。
うちはどんなわんこをもらうかもわからないので、何があっても対応できるよう
無制限を大々的に売り物にしている結構高級な部類に入るところを借りることにした。
(ダンナが、単身赴任で家を留守にすることもわかっていたので、安全も重視した結果。)
応対してくれたマンションの賃貸コーディネーターのおばさんも、イヌ好きでやさし
してくれた。ポチをもらって、すぐ見せにいったら、すごく喜んでくれてうれし
かった。その後も、よく出会ったが、ポチが、うれションしても、全然気にしないで
かわいがってくれた記憶がある。
ってなわけで、すべりだしは順調だったんだけど・・・。三階建ての二階に住んでいて
下は私たちぐらいの年齢の夫婦で、ポチがちっちゃくてかわいかったから、仲良くしてくれて
いた。残念なのは、わんこを飼っていなかったこと。わんこのことあんまり知らなかった
ようだった。ペットフレンドリーを売りにしているマンションにしてはめずらしかった。
さて、もらったばかりの二月には、ほんの赤ちゃんだったポチも七月にもなると、かなり大きくなって
きた。しかも、まだ子供だから、遊び盛り。家が広いだけに、走る走る。ヒモの
おもちゃも、床にたたきつけるように振り回すのが大好きときた。
その頃から、なにやら下からドンドン天井を突き上げるような音が聞こえるように
なった。なんじゃこりゃ、一体下は、なにやっとんじゃい!とは、思ったけど
まさか、それが我が家に対する抗議だとは夢にも思わなかった(爆)。
はっきりいって、アメリカの建物はクオリティが低い。賃貸マンションなんて、
どんなにいいところだって、全然たいしたことない。上で、掃除機をかければ
あーうるさいこと。そりゃー、どたどた走ればひびくけど、ポチは体重の軽いイヌだよ。人間の子供より
はずっとましなはず。しかもポチはほとんど吠えないんだから。
抗議のドンドンは、全然収まらず、さらに管理事務所にまで抗議しにいったらしい。
事務所からこっちに手紙がきたんだよー。あー、びっくり。あんたらのドンドンの
ほうがよっぽど迷惑じゃ(笑)。
そうこうするうち、下のダンナが直接、やってきた。その時はもう九月にはいって
いてうちのダンナは、すでに単身赴任中。
彼が言うには、「一回、下に来て見ろ。雷でも鳴っているような音なんだぞ。」
らしい。あんた、ポチはまだ子供のイヌですよ、まったく。
わたしは、「うちのいぬの活動は通常の範囲です。ここのマンションはいぬを
飼うことを認めているのだから文句を言われる筋合いではない。騒音は、はっきり
言って建造物の品質の低さが原因です。」というようなことを、英語が通じたかどうか
はわからないが、言い返した。
その後も何回か、家に押し掛けられて、いいかげん、下とのトラブルにも我慢できな
くなってきた。下が気になって、ポチにも思うように遊ばせてやれない。
契約途中だったがマンションを引っ越すことにした。
下の住人を喜ばしてやるのもしゃくなので、引っ越すことは黙っていたら、最後に、
こりゃまた、すっごいビックリすることが待っていた。
うちの騒音がうるさいとお巡りさんを呼ばれてしまったのだ。どっひゃー、そこまでする?
女性のお巡りさんが、ドアを開けるように言ってきたので、ポチをケージに入れてから
出迎えた。なんで来たか簡単に説明されたあと、イヌを見せて欲しいって言うから
ポチに会わせてあげた。お巡りさんポチを見るなり、
「He is still just a puppy! What a cute puppu you are!
(なんだ、まだほんの子供じゃないのー。なーんてかわいいのぉ、きみはぁー。)
O.K., well, because this apartement's selling is very thin, please try to
be quiet after 10:00 p.m. O.K.?
(オッケー、だけど、ここのマンションの
天井はとても薄いから、夜の十時以降はできるだけ静かにしてね。)」
って、それだけ。(ポチも、ケージの中から、しっぽ振り振り最大級のお出迎えー!よし、よし
よくやったぞポチ!)ほーら、これが普通の人の反応だよ、へへーんだ。
翌日引越も無事終了し、なにはともあれ、我が家には、平和がおとずれ、ポチとおかーさんの楽しいお留守番
生活が始まったのです。
そのさらに一年後、現在のマイホームに引越し、はなこを
迎えることができたのでした。はなこが、念願のマイホームの壁に、いくつも大きな
穴を開けてくれたのは、まあ、これらの大騒動に比べれば、些細なことですって、
わきゃーないだろー、はなちゃーぁん。壁は、カジカジしちゃイヤーン。(八つ
程開けた後、最近やっと治まりました。ホッ。)