第一回   殿堂入り当確選手は?〜 打者編 〜
素晴らしい成績を残した選手は野球殿堂にレリーフが掲げられます。それは、殿堂入り選手として球史に名前が残ることを表しており、選手としては非常に名誉なことだそうです。1世紀以上の歴史がありながら、選手としては、200人弱しか殿堂入りした選手はいません。では、一体どれくらいの成績を残せば殿堂入りができるのでしょうか。殿堂入り選手のデータから、現役選手の殿堂入りを予想してみようと思います。

今回は野手について考察してみます。大半が打撃成績3部門(安打、本塁打、打点)を重視しているようなので、そこに注目してみたいと思います。

本塁打数で見た場合

McGwireに抜かれるまでMLBの1シーズン本塁打記録(61本)を保持していた、Roger Marisが殿堂入りを果たしていないことから、選考の基準として、通算成績を重視していると考えられます。

本塁打については、500本塁打以上を記録している16人のうち、現役のMcGwireとまだ資格を得ていないE.Murrayを除く全員が殿堂入りしています。また、450本塁打以上も資格を得ていない、D.Winfieldを除く4人全員が殿堂入りしています。まず500本塁打以上を打てば殿堂入り確実と言えるでしょう。442本塁打のDave Kingmanが入っていないことから、500本塁打未満では、安打と打点を含めた総合的な成績で優秀であるのが必要と言えると思います。以下に約400本塁打以上の選手成績をまとめてみました。

名前 本塁打 安打 打点 守備 備考
*Lou Gehrig 493 2,721 1,995 一塁手
*Stan Musial 475 3,630 1,951 外野手
*Willie Stargell 475 2,232 1,540 外野手 打率.282
*Dave Winfield 465 3,110 1,833 外野手
*Carl Yastrzemski 452 3,419 1,844 外野手
Dave Kingman 442 1,575 1,210 外野手 打率.236
-Andre Dawson 438 2,774 1,591 外野手
*Billy Williams 426 2,711 1,475 外野手 打率.290
Darrell Evans 414 2,223 1,354 一塁手 打率.248
*Duke Snider 407 2,116 1,333 外野手 打率.295
*Al Kaline 399 3,007 1,583 外野手
Dale Murphy 398 2,111 1,266 外野手
*:殿堂入り、-:未資格
数字的にはほぼ同じのDarrell EvansとDuke Sniderですが、Duke Sniderのみ殿堂入りしています。違いは通算打率で、D.Sniderの.295に対してD.Evansは.248しかありません。Willie Stargellが.282で殿堂入りしていることから、400本塁打以上を打っている場合、2000安打、1300打点、通算打率.280が当確ラインと推測されます。

安打数で見た場合

シーズン最多安打は、1920年に記録されたGeorge Sislerの257安打。通算2812安打で殿堂入り。254安打で2位のBill Terryも通算打率.341で殿堂入りしています。が、同2位のLefty O'doulと250安打で6位のChuck Kleinは殿堂入りを果たしていません。この点から、やはり安打数も通算成績を重視しているようです。

通算で3000本安打を達成している選手は24人いますが、現役を含め、未資格を除くすべての選手が殿堂入りしていることから、これを達成した選手はまず確実と言えるでしょう。また、2800本以上も15人いますが、全員殿堂入りを果たしています。逆に通算2757安打のVada Pinsonが殿堂入りしていないことから、2800本以上が安打数のみでみた場合の基準になると推測されます(通算打率も関係していると思いますが・・・)。

以下に通算2500安打を記録しながら400本塁打未満の選手をまとめてみました。

名前 安打 本塁打 打率 打点 守備位置 備考
*Luke Appling 2,749 45 .310 1116 遊撃手 守備率.948
*Goose Goslin 2,735 248 .316 1609 外野手
*Tony Perez 2,732 379 279 1652 一塁手
*Luis Aparicio 2,677 83 .262 791 遊撃手 守備率.972
*Fred Clarke 2,672 67 .312 1015 外野手
*Max Carey 2,665 70 .285 800 外野手 738盗塁(8)
*Nellie Fox 2,663 35 .288 790 二塁手 守備率.984
*George Davis 2,660 73 .295 1437 遊撃手 616盗塁(16)
守備率.936
*Harry Heilmann 2,660 183 .342 1539 外野手
Lave Cross 2,645 47 .292 1371 三塁手
*Jim O'Rourke 2,643 49 .314 1010 *外野手
*Rabbit Maranville 2,605 28 .258 884 遊撃手 守備率.956
Steve Garvey 2,599 272 .294 1308 一塁手
*Ed Delahanty 2,596 98 .346 1464 外野手
*Richie Ashburn 2,574 29 .308 586 外野手
Willie Davis 2,561 182 .279 1053 外野手
George Van Haltren 2,532 69 .316 1014 外野手 583盗塁(19)
*Heinie Manush 2,524 110 .330 1183 外野手
*Joe Morgan 2,517 268 .271 1133 二塁手 守備率.981
Buddy Bell 2,514 201 .279 1106 三塁手
Jimmy Ryan 2,502 118 .306 1093 外野手
*:殿堂入り、-:未資格、備考のカッコ内は歴代順位。*外野手:投手以外すべての守備位置を均等に経験しているが、殿堂には左翼手として登録されているため。
リストを見ると、通算記録が2800安打未満および400本塁打未満の場合、通算打率が.300以上であることが一つの条件のように見えます。また、二塁手や遊撃手といった高い守備技術が要求されるポジションでは、打撃成績に対する条件が甘くなる傾向にあるようです。
この守備位置の選手に関しては、守備の成功率を「守備率」として割り出してみました。その数字で単純に名手かどうかを判断してみようと思います。現在の名手と言われる選手の守備率と比較してみましょう。

二塁手:Roberto Alomar 0.983(ただし、1999年のみだと0.992)
遊撃手:Rey Ordonez 0.978(ただし、1999年のみだと0.994!)
ちなみに、「オズの魔法使い」と異名をとった名遊撃Ozzie Smithは0.978。

以上の結果から、守備率0.981のJoe Morganは間違いなく名手と言えるでしょう。逆に、Luke Applingは0.948で、視覚的には解りませんが、数字のみで判断すると守備は平凡と言えます。が、Applingは通算打率が.310なので、守備位置の恩恵を受けているとは言えないと思います。典型的なのがRabbit Maravilleで、守備率が0.956で打率も.258であり、2605本の通算安打以外に取りたてて目立つ数字はないので、二塁手、遊撃手の場合は2600安打以上が目安になると考えます。
守備位置による恩恵を受けない場合は判断が厳しく、Richie AshburnとGeorge Van Haltrenは、どう考えても殿堂入りしていない後者の方が成績が良く、またR.Ashburnもベテランズ委員会での選出のため、微妙なラインであると言えます。ここをボーダーラインと考えると、2600安打、打率.310以上が条件と考えられます。
打点で見た場合

1930年にHack Wilsonによって記録された190打点が今もなおシーズン最多記録として破られていません。彼を含め、上位11位(7人)までが殿堂入りしています。1位のH.Wilsonは一時的に爆発した選手で、通算打率こそ.307ですが、安打(1461本)、本塁打(244本)、打点(1063)どれをとっても通算成績は「凄い」とは言えません。しかし、ベテランズ委員会での選出ですが、殿堂入りしているところをみると、単年でもこの記録に匹敵する成績を残せば可能性があると言えます。ただ、記録塗り替えは不可能とも言える驚異的な数字なので、厳しい条件であることは間違いありません。次に通算で見た場合、1500打点以上を記録した選手はすべて殿堂入りしているので、1400打点以上の選手を参考に考えてみます。

名前 打点 本塁打 打率 安打 守備位置 備考
Dave Parker 1493 339 .290 2712 外野手
*Billy Williams 1475 426 .290 2711 外野手
Rusty Staub 1466 292 .279 2716 外野手
*Ed Delahanty 1464 101 .346 2596 外野手
*Eddie Mathews 1453 512 .271 2315 三塁手
Jim Rice 1451 382 .298 2452 外野手
-Joe Carter 1445 396 .259 2184 外野手
*George Davis 1435 73 .295 2660 遊撃手
*Yogi Berra 1430 358 .285 2150 捕手
*Charlie Gehringer 1427 184 .320 2839 二塁手
*Joe Cronin 1424 170 .301 2285 遊撃手 守備率.953
*Jim Bottomley 1422 219 .310 2313 一塁手
*Robin Yount 1406 251 .285 3142 遊撃/外野
*:殿堂入り、-:未資格
リストを見ると、二塁手および遊撃手や捕手は全員殿堂入りしています。やはり守備位置の特典はここでも出てきています。
注目すべきは、Dave ParkerとBilly Williams。通算成績はほぼ同じで同じ外野手、D.Parkerが打点と安打数でかろうじてリードしています。が、本塁打数でB.Williamsが大きく上回っており、それが明暗を分けています。
382本塁打のJim Riceも殿堂入りを果たしておらず、400本塁打以上が目安になってくると考えられます。
以上の調査結果をまとめてみました。
打撃3部門それぞれ単独の基準
本塁打 500本
安打 3000本
打点 1500打点
本塁打
400本以上の場合、2000本安打、1300打点、打率.280
安打・打率
2600安打、打率.310以上
打点
1400打点、400本塁打以上
基準設定
変動する打率を除き、蓄積される記録のみで基準値を設定したいと思います。(勝手に。。。)

「500本塁打」、「3000本安打」、「1500打点」または「本塁打:400本、安打:2500本、打点:1400打点」

以上の基準をもとに、現役でクリアまたは、クリア直前の選手をリストアップします。(2001年シーズン終了時点の成績)

名前 安打 本塁打 打点 守備位置 備考
Harold Baines 2866 384 1628 外野手
Barry Bonds 2313 567 1542 外野手 484盗塁
Tony Gwynn 3141 135 1138 外野手 319盗塁
Rickey Henderson 3000 290 1094 外野手 1395盗塁
Mark McGwire 1626 583 1414 一塁手
Cal Ripken 3184 431 1695 遊撃手
以上の6人は各項目で基準を達成しているので、資格取得初年度の殿堂入りもほぼ間違い無いと考えられます。
名前 安打 本塁打 打点 守備位置 備考
Sammy Sosa 1795 450 1239 外野手 60本塁打3回
Ken Griffey 1987 460 1335 外野手
Rafael Palmeiro 2485 447 1470 一塁手
Fred McGriff 2260 448 1400 一塁手 両リーグ本塁打王
以上の3人は来シーズン中にも基準(青字)をクリアする可能性が大きいので、殿堂入りもほぼ決まったと言えるでしょう。
近年中に基準をクリアするであろう選手をリストアップします。
名前 安打 本塁打 打点 守備位置 誕生年
Jeff Bagwell 1803 349 1223 一塁手 1968
Jose Canseco 1877 462 1407 DH/外野手 1964
Andres Galarraga 2172 377 1341 一塁手 1961
Juan Gonzalez 1727 397 1282 外野手 1969
Frank Thomas 1770 348 1193 DH/一塁手 1968

捕手、二塁手、遊撃手

Robert Alomar 2389 190 1018 二塁手 1968
Craig Biggio 2149 180 811 二塁手 1965
Barry Larkin 2048 181 851 遊撃手 1964
Alex Rodriguez 1167 241 730 遊撃手 1975
Mike Piazza 1507 314 975 捕手 1968
Ivan Rodriguez 1595 196 769 捕手 1971
*2001年11月現在
以上15人は現在の成績を継続すれば、殿堂入りは間違い無いでしょう。ただし、Cansecoは通算打率が低い(.266)ため、2000本安打&1500打点か500本塁打を記録しないと厳しいと推測されます。個人的には好きな選手なので、是非成し遂げて欲しいと思います。Galarragaも最近の成績を見ると厳しい状況になってきています。400本塁打&1500打点は記録してもらいたいですね。ガンによる1年のブランクがどう見られるかが選出の鍵かもしれません。打撃3部門(打率、本塁打、打点)のタイトルをすべて獲得していることも考慮されれば可能性があるかもしれません。
 

(おまけ)期待の若手

名前 安打 本塁打 打点 守備位置 誕生年 実動年
Carlos Beltran 491(189) 53(24) 260(101) 外野手 1977 4
Eric Chavez 400(159) 71(32) 256(114) 三塁手 1977 4
Nomar Garciaparra 836(24) 121(4) 444(8) 遊撃手 1973 6
Ben Grieve 635(143) 87(11) 375(72) 外野手 1976 5
Derek Jeter 1199(191) 99(21) 488(74) 遊撃手 1974 7
Paul Konerko 519(164) 84(32) 306(99) 一塁手 1976 5
Magglio Ordonez 727(181) 111(31) 432(113) 外野手 1974 5
Lance Berkman 318(191) 59(34) 208(126) 外野手 1976 3
Pat Burrell 245(139) 45(27) 168(89) 外野手 1976 2
J.D.Drew 345(121) 63(27) 182(73) 外野手 1975 4
Vladimir Guerrero 879(184) 170(34) 512(108) 外野手 1976 6
Todd Helton 791(197) 156(49) 515(146) 一塁手 1973 5
Albert Pujols 194(194) 37(37) 130(130) 三塁手 1980 1
Scott Rolen 783(160) 133(25) 493(107) 三塁手 1975 6
Richie Sexson 487(162) 117(45) 367(125) 一塁手 1974 5
以上は将来殿堂入りが期待される若手選手です。(カッコ内は2001年度成績)
 

2001年11月 さくらい

野球殿堂

野球発祥の地とされるクーパーズタウンに建設された、野球界が生んだ偉大な選手の名前を掲げた殿堂。1936年に発表され、1939年6月12日にオープンした。全米野球記者協会(BBWAA)により、建設を発表した'36年から殿堂入り選手を選出した。記念すべき最初の選出者は、タイ・カッブ、ベーブ・ルース、ホーナス・ワグナー、クリスティー・マシューソン、ウォルター・ジョンソン。

現在の選出方法
1.大リーグで10年以上プレーし、現役引退後(コーチ、監督の時期も含む)、5年以上経過していること。
2.前回の投票で投票数の5%以上を獲得している人物を対象にして10人を限度に投票し、75%の票を獲得したものが殿堂入りとなる。

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