「企画提案型修学旅行の実施に向けて」と何やら難しいテーマを揚げてみた。「学校に修学旅行の企画提案なんてできない」と旅行エージェントの方々はよくいう。それは今までの時代の流れをみると事実でもあるし否定はしない。新しいことには慎重であるし、わざわざ労力をかけてまで、今までのやり方を変える必要もないと考えるのもうなずける。 今までの旅行エージェントの役割といえば、学校の修学旅行の計画実施に際して学校の競合入札の中で何がしの"提供"をすることであった。それは「紙爆弾」的な資料集、パンフレットの束、修学旅行の案内の冊子(旅行エージェント側では「修学旅行の企画書」と呼んでいるモノ)等の"形あるモノ"であり、また無償サービスという"形の無いモノ"であった。ここでは旅行エージェントサイドの今までのあり方への反省から、これからの修学旅行を創造することを前提に、今一度現状と方向性を検討したい。もちろんここに述べたことが、実現に際して今すぐにというのは、学校の事情や過去のいきさつ、経験があることだし、物理的に提案側のエージェントにも困難ではある。しかし、旅行エージェ
ントと学校との新しいパートナーシップを構築するために、ぜひともこの機会に検討してみてはどうだろう。
1.修学旅行を取り巻く環境 旅行エージェントとの関係から、今まで学校に提供してきたもの、それは、
@「方面」の提供=旅行エージェントからの情報の提供。 A「ハード」の提供(提供)=宿舎、交通機関の手配、旅行日程の提供。 B信頼の提供=学校営業のおいては○△旅行エージェントという企業の組織力の評価ではなく、あくまで営業担当者の人柄、資質に起因。 学校にとって、この三つのどの要因に優先順位を置くかで、学校と旅行エージェントの関係が決定され、修学旅行がつくられてきた。 |
@「方面」の提供=旅行エージェントからの情報の提供。
旅行エージェントは学校に対し、修学旅行の計画実施に際しては、例えば九州、関東、関西、スキー等の方面(見学場所)を紹介すること。すなわち旅行エージェントの商品である「現地旅行情報」のことである。旅行エージェントのここでの存在価値は、情報を提供する便利屋さん的存在であり、いかに早く学校の欲する価値ある情報を、いかに無償で学校に持参できるかということである。「情報はタダ」と皮肉的に書けばこうなる。このケースでは、旅行エージェントは同業他社との差別化は困難であり、修学旅行の取扱エージェントの選定要因は「価格」や「ハード」「エージェントの営業担当者の姿勢資質」によることが多い。学校側も、修学旅行実施の準備段階で、膨大で同じような資料、施設情報、観光情報を受け取り、修学旅行を検討した気になっているのも事実である。確かにこれで充分不便を感じていないのも旅行エージェン責任である。学校は旅行エージェントを本当に"御用聞き""旅行情報を無料で提供してくれる便利屋"としの位置付けしかしていないのだろうか?
A「ハード」の提供(提供)=宿舎、交通機関の手配、旅行日程の提供
基本的な旅行エージェントの業務である。このような修学旅行の本質とは離れた要因で修学旅行がつくられるべきではない。「〜のホテル」が手配できるから○○旅行エージェントに決定、「〜月〜日のJR」が取れるから○△旅行エージェントに決定。この例は高校のスキーで、ある特定の旅行エージェントに信州の宿舎が事前枠としてまわってきた場合などに見受けられる。確かに実施に際しての必要な条件ではあるのだが、絶対的な条件でないはず。それが修学旅行の実施期日、方面、交通手段に大きな影響をおよばしているのも事実ではある。 実施に際しては旅行エージェントにおける「手配力」が確かに影響する。希望のホテル旅館、日程、交通機関が学校の希望道りに手配できること。これは会社サイドの課題であり個人的には営業サイドには無関係。しかし、「手配力の弱さ」が、高校スキーに見られるような修学旅行の旅行エージェント取扱シェアの減少に影響したり、関東、関西、九州地区にみられる宿舎の確保の困難さをもたらしている。本社は学校のニーズが明白な以上は、ハード優先の営業より、もっと突っ込んだ問題解決型の営業ができればいいのだが。
B「信頼」の提供=学校においては○△旅行エージェントという企業の評価ではなく、あくまで営業担当者の人柄、信用がものを言っている場合がある。「提供できる旅行商品(修学旅行)を売る前に、自分(営業マン)を売り込め」みたいな感覚か。確かに提供できる修学旅行が充分なものであり、そのうえに学校と旅行エージェントとの良好な関係が確立されていれば問題は少ない。国内における修学旅行の反省として、余りにも属人的な要因で修学旅行がつくられていないだろうか。学校の修学旅行幹施エージェント選定要因として、営業担当者個人の能力や営業に対する評価があった。いわば「個性のアピール」「個人の売込」であった。例えば約束を守る、きめ細かい先生の個人旅行への対応フォロー、適切なアドバイスなどにより、学校との信頼関係を築き、学校のエージェント指名へ近づくのだ。いうなら○△旅行エージェントという企業の他者にまけない魅力や組織力、運営力で指名につながったのはない。この場合、旅行エージェントの企業規模はさほど幹施における他社との差別化にはならない。もともと学校の場合、大手も中小エージェ
ントも区別はされていないが、逆の観点から捉えれば、この点に多くの旅行エージェントが参入する余地があるといえる。本来は充分な企業としての手配力と学校との良好な人間関係があるうえで、修学旅行企画内容がともなえば、もっといい修学旅行をつくれるのだが…・。あくまで個人の営業力は最低限備えたものとみなし、そこから一歩先を見越した「コンサルティング営業」「課題解決型営業」に進めれば理想的といえる。
「修学旅行を取り巻く環境」では、現在学校と旅行エージェントがおかれている状況を探ってみた。ここでは、将来あるべき修学旅行の形態を摸索するとともに、学校への効果的な修学旅行を提案するための前提となる「学校分析について」考えてみたい。
2.将来あるべき修学旅行の形態旅行エージェントがこれからの修学旅行で果たす役割を探ってみた。
@「目的」の提供 A「ソフト」の提供 B「付加価値」の提供の三つの提供である。 |
@「目的」の提供=いわば意義付け、皮肉的にいえば大義名分の提供であろう。
テーマの提供と言ってもいい。従来の修学旅行の計画段階で見受けられるのは、結果としてまず「方面」を決定されてしまうことであった。「どこへ行くか」を先に決めてから「何をするのか」を学年団が具体的に決定するという傾向がある。修学旅行の計画中では、例えば中学校の集約臨時列車に見受けられるように、2年くらいにまず方面が決定される。これは費用やJRの運送計画の都合上、ある面では仕方のないことでもある。まず方面が決定されてから、学年団が固定してから何をするかを決めるケースである。本来は「何をするのかが」まず先にきて、「どこへいくのか」が後であるのだが。 しかし、これからは「〜をするために、〜へ行く」ということの発想から修学旅行をつくりたい。もちろんそのつもりで学校側は検討を重ねているはずだ。本来は修学旅行を計画するために横断的な学年を超えた学校全体の組織があって、そこで修学旅行を数年に渡って検討していけばよいのだが…・ それではこの「目的」提供=意義付け、「なぜするのか」を企画提案するための前提として、何をすればいいのか。それは学校の「分析」である。そのためには、まず提案する学校のことをよく知ってい
なければならない(=分析力である)。学校の教育方針、モットー、教職員生徒のものの考え方、父兄の考え方、などはいうまでもなく、その学校が存在する市町村の特性、教育委員会の方針考え方、さらに自治体や文部省の教育政策などを考えて、旅行エージェントが最もその学校に最もふさわしい修学旅行を提案できているのかである。例/『テーマ』の設定から企画提案する。 これからの修学旅行に対して、ひとつの指針として「〜へ行けば、〜ができる」のではなく「〜をやるために、〜へ行く」という意義付けがまず最初に必要であると述べた。そしてその実施による学校への"効果""メリット"を前面に出して修学旅行を創るべきである。ここでは、例えば今後提案すべきであろう「テーマ」を出来るかぎり考えたい。ここから学校にふさわしい「テーマ」設定へ、何らかのきっかけとなるはずだ。
例「〜教育(学習)」という風に〜に入る言葉を考えてみる
・「平和教育」=「歴史教育」 ・「集団教育」 ・「開発教育」=「人権教育」
・「環境教育」 ・「情報教育」 ・「金銭教育」 ・「コンピューター教育」
・「家庭教育」 ・「消費者教育」 ・「障害者教育」 ・「生涯学習(教育)」
・「体験教育」 ・「エイズ教育」
・各種教科の「〜教育」
A「ソフト」の提供=「システム」「プログラム」の提供である。
単に修学旅行の期間だけを考えるのではなく、特別活動として3年間をテーマづけし、1学年、2学年と引き継ぎ、3学年にその仕上げとして修学旅行が位置付けられたら素晴らしいではないか。一貫したテーマが修学旅行をはじめとするオリジナルの特別活動をつくるのである。旅行エージェントは、先の前提のもとに提供できるハード部分を踏まえて、その学校に最も適した「システム」「プログラム」は提供できないのか。組織力を活かした「プログラム」「システム」を持っているのか。他社には真似の出来ないものを創ることが先決。しかしこれからの「プログラム」「システム」を販売運営していくためには、必要最低限として営業担当者の教育、基礎知識、営業力の育成が必要である。この面でかなりこのレベルに達しない旅行エージェントは自然陶太されるだろう。ただこのレベルまで学校が、旅行エージェントに期待しているかどうかは別だが。3「付加価値」の提供=「信頼」の上に成り立った「プラスアルファ」が提供できること。プラスワンセールスである。基本として学校の抱える課題に対して、企画提案なりコンサルティングができるか。パートナーシップを確立して、旅行エー
ジェントの学校に対する"ポジションニング"を変更させることができるかがエージェント側の過去からの課題だ。今もそうであるが学校と旅行エージェントには、上下関係が暗黙のうちに存在することが多い。従来の旅行エージェントによる「雑用」「使い走り」「便利屋」「御用聞き」セールスからの脱却である。エージェント営業マン個人の学校からの信頼アップ、能力アップ、自己啓発が必要。学校に「嫌われてもいい」、しかし極論だが「その学校には絶対必要な○△旅行エージェント」だと思わせる営業もあってもいいのでは?。旅行エージェント営業担当者と話をすることで、何かメリットを感じさせる営業であることが必要だ。 「ソフト」の提供=「システム」「プログラム」の提供、「付加価値」の提供=「信頼」の上に成り立った「プラスアルファ」の情報が提供できるためには、ここで相手のことをもっと知る必要がでてくるのだ。当然のことだが、従来のような学校の特性を無視した「紙爆弾」的な資料集、パンフレットの束、修学旅行の案内の冊子(旅行エージェントでは「修学旅行の企画書」と呼んでいるが)等を配るだけは学校の抱える課題テーマを解決出来ない。それ
はまるで医者が患者を診察もせずに、すべての患者に"頭痛薬"を与えるようなものである。ここでは、このような状況に陥らないために、まず相手(学校)のことをもっと深く知る必要(診察する必要)があると思われる。
3.学校分析について
では、学校にふさわしい的確な企画提案をするためには、まず最初に何が必要になるのか。それはズバリ「情報」であるといえる。旅行エージェントの長年コテコテ営業をしてきた経験者からすれば、コツコツと営業し人間関係だけで学校とうまくやっていけたのも事実である。それで学校も不服はなかった。営業サイドも学校の事情を知らずに、一方的に旅行商品を案内し、または逆に学校から提示された旅行条件に見合うような旅行商品(見積価格)を必死に提供しようとしてきた。あるときは旅行エージェント同士の手配相乗り状態や宿舎施設と組んで、企業の組織力を活かしながらである。旅行エージェントの学校とのパートナーシップの確立には程遠いものであった。 これからあげる項目は、学校へ企画提案するために旅行エージェントサイド(提案者)が事前情報として入手していなければならない事項の例である。これらをチェックすることで、その学校にふさわしい形の修学旅行が提案できるはずだ。これらは当たり前のことではあるが今一度チェック願いたい。そこからきっと旅行エージェントの役割としての『企画提案型修学旅行』の実現へと一歩近づくはずだ。
@学校の特徴…・校風、教育方針、モットー、など学校としてどのような方向性を目指すのか、また従来の修学旅行や研修旅行に対する基本的方針や取り組みなど学校としての全体的な流れ方針を的確に把握する必要がある。
A学校職員の傾向…・学校教育、修学旅行等に対する校長の考え方、教育現場職員の考え方などよく知っているのか。
B生徒の特徴…・直接の"お客"である生徒がどのような考え方を持っているのか。何を望んでいるのかなどの傾向をつかむ必要がある。それには・日本全体としての中学生、高校生の平均的な意識を知る必要がある。・都道府県における中学生、高校生の意識や動向を知る必要がある。・学校所在地の市町村における中学生、高校生の意識や動向を知る必要がある。・その学校自体の生徒の特徴(担当者のみぞ知りえる範囲)
C保護者(PTA)の特徴…・直接の"お客"である生徒の"保護者"が、学校教育なり子供に対して何を望んでいるのか、どのように考えているのかなどの傾向をつかむ必要がある。それには・日本全体としての中学生、高校生を子供に持つ平均的な親の意識を知る必要がある。・それは都道府県における保護者の場合はどうなのか?・学校所在地の市町村における保護者の場合はどうなのか?・その学校自体の生徒の保護者の意識や特徴(担当者のみぞ知りえる範囲)これらの情報を入手するためには、新聞記事、教育雑誌、文部省や市町村、教育委員会発行の白書なり報告書はいうまでもなく、保護者間で出回る"会報"のような情報紙を入手する必要がある。もっとも効果的なのは、保護者会の代表と直接話を伺い、学校に何を期待するのかを聞くこと。
D文部省指針、文教政策等の…・国の最高機関である"文部省"の方針を知ることは、旅行エージェントが学校に対して提案する企画書自体に"お墨付き""信憑性"を与えるものである。全体の流れを知らずして教育の現場にアプローチをかけることは「木を見て、森を見ず」のごとくである。
E日本の社会全般の動向、環境…・学校を取り巻く環境は当然理解すべきだが、社会の流れとしての消費者の考え方の傾向、動向等を把握することは自分自身のためでもある。さきの提案する企画書自体にも"お墨付き""信憑性"を与えるものであり、ひいては"一般論"としても説得力が増すと確信する。
Presented by:長月白露
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