『学校林業科と研修旅行を考える』


一.林業科を取り巻く状況

 日本は森林の国であるといわれている。日本全土における森林比率は約67%とされ、世界的にもこの数値は高いものだ。世界自然遺産に登録された青森県と秋田県にまたがる「白神山地」や縄文杉で一躍有名になった「屋久島」などは記憶に新しい、森林保護が叫ばれるなか、学校現場での専門課程である林業科関係の研修旅行や取り組みはどのような展開案が可能かを検討してみた。環境庁では五年に一度「緑の国勢調査」実施している他、林野庁では森林や巨木を守るため新たな取組みをはじめた。森林インストラクタ−(90年)、樹木医制度(91年)にはそれぞれ200名を超す登録があり、自然観察会や天然記念物の樹木の診断、樹勢回復に携わっているという。日本は木材をたくさん輸入しているが、地球規模でみると約二%程度の輸入になるという。世界的にはいま森林の減少が至る所で叫ばれている。それは造林のノウハウを持たない国が多いことも要因の一つであり、そういった意味では先進林業国である日本の果たす役割は大きいといえる。森林国日本にはまだ森林や巨木がまだ残っているが、一方で林業は衰退の一途をたどっているという現実がある 。世界的には森林資源は危険信号なのだ。

二.林業科における研修旅行を考える。

「林業労働の第三セクタ−事例」を視察する

 山村の過疎化や木材価格が低迷する中、衰退の危機に直面している林業に異変が起きた。従来、林業従事はきつくて条件の悪い3K職種のように言われていたが、都会からの就業志願者が急増している。森林組合、自治体では地域を上げて受け皿を準備するなど、新しい林業への労働力の確保としての期待も高いという。これらの事業を通して将来の林業の方向性と、日本林業が生き残る道を探って欲しい。視察先として、一部を紹介する。

・岐阜県上之保村…ュハ−トランドかみのやま
・三重県宮川町…ュフォレストファイタ−ズ
・広島県千代田町…ョ千代田町農林建公社
・徳島県木屋平村…ュウッドピア
・愛媛県城川町…ュエフシ−
・高知県大豊町…ュとされいほく
・熊本県小国町…ュ悠木産業
・大分県上津江村…ュトライウッド  など

「環境保護の視点から森林をみる」

 森林の機能は暑さ、寒さ、湿度、風速などの気象条件を緩和させる。また洪水、渇水や水質の保全二酸化炭素、酸素の循環を通して空気を浄化し、保養、森林浴、レクリエ−ションの場や教育や自然体験の場としての役割を担っている。環境保護保全という視点から森林をとらえてみる。最近話題になった所を研修旅行に組み込んでみてはどうだろう。

〔見学地候補例〕

 ・白神山地(秋田県・青森県堺)…世界遺産として登録されて2年が経つ。標高100メートルから1200メートルの山岳地帯でブナ林が原生のまま残されているのは世界的にも珍しい。
 ・知床(北海道)…「知床百平方メ−トル運動」により国立公園内の原生自然の再生をめざす。
 ・屋久島(鹿児島)…白神山地とともに世界遺産として登録されて2年。屋久杉をはじめ、「一握り砂運動」などの保護運動には積極的。観光と環境保護に取り組む。
 ・奥多摩(東京)…国内でも樹木が豊富な町として意外なのが奥多摩町。巨木がある場所は、新鮮な空気と水を供給し人間とっても快適な場所。くつろぎの空間としての木々の役割を考える。

環境学習活動例として地元の環境保護団体との交流、講演、ディスカッション、保護運動への参加、協力が考えられる。

「ログビルディングスク−ル体験」

 ログハウス造りが人気がある。ログハウスは手作りの小さなものなら、費用は土地付きで500万円前後でつくれる。自然志向の都会人が好んで、家族や中間などと一緒に週末などに作っているという。
 しかし、この現代の一般消費者のログハウス造りのニ−ズに応える講座が少ないように思う。専門である林業科においては、ログビルディングのインストラクタ−などいない。このログハウス造りはレジャ−の要素は高いが、時代にあった林業経営の学習の一貫として広く一般消費者に向けての講座設定は的を得たものといえる。また場所によっては、最終的に自治体のまちおこしににも貢献できる。

・ログハウス造りインストラクタ−養成。
・海外国内「ログビルディングスク−ル」を視察。
・市民向けにログハウス造りの講座、スク−ルを開講する。

「アウトドアライフ」の現状視察

 今、都会に住む人の自然回帰志向により、アウトドアライフが盛んになっている。一方で、にわかキャンパ−やRV車による自然環境破壊が早急な解決すべき課題であろう。人気のキャンプ場、オ−トキャンプ場、アウトドア活動の現状を通じて、人々が憩いの場である森林でどのように関わっているか、何を森林に求めているのかを視察する。そして正しい森林と人間との関係を構築していく。

「漁業を守るための植林?」

 「木を植えて漁業を守ろう」と漁民が中心になって植林する運動が各地広がっている。背景には開発による森林の伐採により木々が減少すると、山の保水力が弱まる。保水力が弱まると大雨で山の土砂が海に流れ込み、沿岸の環境が悪化し、魚が寄りつかなくなったり、コンブが根腐れする影響がでるからだ。ことの発端は北海道指導漁連で1994年までの7年間で25万本を植林したことに始まる。現在岩手、宮城、熊本、広島などで「漁民の植林」として広まりつつある。単に林業従事者の森林保護に限らない自然体系の中での他の自然への影響や関連性を学習することにもなるだろう。

・北海道浦河町、えりも町
・その他…岩手、宮城、熊本、広島

「林産物を健康に役立てる」

森林浴ってご存知だろうか。森林浴は大気浴の一つとされており、樹木が分泌するフィトンチッドという揮発性の物質により人体が活性化され、健康増進効果があるとされている。また、アロマテラピ−という芳香治療がある。アロマは「芳香」の意味。香りをかがせることで治療を行うというものである。1995年ヒノキやヒバの精油を使った製品の人気が盛り上がっている。数年前にあったヒノキブ−ムとは異なり、自然志向を強める消費者に結構ウケているという。ヒノキに含まれるヒノキチオ−ルは、防虫・抗菌作用の効能があり、安眠や精神安定効果がある。林産物の加工を通して、林産の特性を我々の生活に活用し役立てる。林業科においてこれらの木を使った商品の加工開発により、一般消費者の健康増進作用に寄与するのである。おおげさにいえばこうなる。どうようにして森林素材が人々に役立つ商品となっているのかを視察。製造元企業、販売している百貨店、治療を研究している病院などへの視察が考えられるだろう。

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Presented by:長月白露
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