『芸術科と研修旅行を考える』


一.芸術科を取り巻く状況

 この分野で中学校高校からまで専門課程として設置されている専門学科のある学校は私立を含めても多数は存在しないだろう。それは学科の特殊性もあるが、残念ながら高校までの段階ですでにふるいにかけられている(選抜されている)生徒たちの受入れということもあり、その時点で残った生徒は少ないという現状もあるだろう。
 最近の芸術科をとりまく学校を紹介してみると、関西のある公立高校では小学生を対象とした入学のための学校説明会を実施した。この小学生への説明会は「青田買い」という意見も一部にはあるが、ピアノやバイオリンは小さい頃からの教育が重要であり、才能のある児童たちに早い時期から興味や学校の存在を知ってもらうのが実施の目的だという。また、今まで学校内で単に一つの学科すぎない一クラスのものを、別途学校として独立発足させるところが出てきた。確かに人間は誰でも才能があるわけだから、その才能が伸びる時期が限られているとするなら、早く本人に気付かせ、その時期に集中して訓練すればいいわけだ。そうすれば豊かな才能をもった人材が発掘でき、広義の意味で芸術の底辺も広がり、将来も明るい。
 大阪には日本に一つしかない芸能文化科を持つ府立東住吉高校がある。三味線、日本舞踊、落語、狂言、鼓などの手ほどきをうける異色の学校して余りにも有名である。もちろん狙いは伝統文化を理解し、その発展と継承に貢献できうる人材育成し世に輩出することである。課題は一部にタレント養成所と勘違いされている節があることや卒業生がさらに深く研究を続けたいときに大学進学など進路の幅が少ないことであるという。
 大学でこのところ増えてきた「一芸入試」が高校入試でも目立ち始めてきたという。「芸は身を助ける」「一芸に秀でる者はすべてに秀でる」といわれる。東京都内の私立高校ではスポーツ、絵画、書道、そろばんの実力など、一芸に秀でた中学生を対象にした推薦入試を実施を導入する。
 ここでは芸術、いわゆる音楽、美術、伝統芸能等の学問的な本質について、専門分野から提案するものではないので予め断っておく。これらの芸術が専門分野以外の場面で活用利用できることへの提案としてとらえていただきたい。

二.学校音楽科への提案事項

 1995年は、阪神大震災への救援活動として音楽救援活動が活発に行われ、数多くの音楽家がコンサート開催、募金、寄付などが実施された。海外国内からもミュージシャンが集まった年でもあった。
 1995年の日本のクラッシク界は、戦後五〇周年の節目の年であったが、日本の戦後のクラッシク音楽史を回顧するという目立った動きはなっかたという。音楽界は先行き不透明ななか、閉塞感が漂い色んな意味で出口を探りあぐねた一年であったといわれている。また、アジアへ多くの音楽ビジネスが期待された年でもあった。香港での国際音楽産業見本市には、世界の44か国から2129人もの業界人が参加。音楽市場としてアジアをに対する関心が高まったといえる。1996年の音楽界の話題では「三大テノー−ル」であろう。技のパバロッティ、知のドミンゴ、心のカレーラスといわれる世界の三大巨頭が一堂に介する。このクラシック音楽界のスーパースターが集まるのは今世紀では最後といわれ世界の注目が集まる。

 共通して提案したいのは、芸術を通して人々を感動させることのみならず、若い頃に世界を見ること、また芸術を一般生活や人々のために役立て欲しいと願う。

・芸術を通した国際親善交流
・世界の国々を芸術を通して見ること
・癒しの術としての芸術の新しい視点を創造すること などを期待する。

〔音楽学科への提案〕

・アジアとの音楽交流…経済発展ともに日本の眼は今アジアを見つめている。今や言葉を超えて共通するものは音符という世界共通語かもしれない。アジア諸国との音楽を通じた国際親善や学校間交流。

・音楽療法…音楽が治療や体の機能回復、心身の健康維持に役立つという。この効能を積極的に取り入れようとしているのが音楽療法士と呼ばれる人々だ。1995年7月には、全国組織「全日本音楽療法連盟」が発足。自治体でも専門家養成に取り組むところが出てきた。奈良市では音楽療法士資格制度を創設したという。単に芸術のみならず、今後は教育課程でも実務面を取り入れてはどうか。

・リラクゼーション…今企業人のあいだではリラクゼーションが静かな流行になりつつある。音響機器メーカや寝具メーカが東京都内にリラクゼーションを体験できる店舗を設けてところ、人気を集めているという。音楽を聞くことにより気分を和らげ、アルファ波と呼ばれる脳波が流れるという。ぜひとも音楽以外にも専門分野として活用できる人材必要かも。

・ミュージカルセラピー…音楽療法の一つだが、楽器を演奏したり音楽に合わせて声を出したりしてプレッシャーやストレスで閉じこもりがちな心を開くというもの。音楽科に属する高校生ならではの特性を活かしたボランティアでの活用を提案したい。

三.学校美術科への提案事項

・美術ボランティア…美術を専門とする学生には最適のボランティア。欧米ではレベルの高い美術ボランティアが存在する。海外からきた観光客に英語で案内ができれば言う事なし。見返りを期待しない高校生のボランティアが最適か。

・絵画治療…絵画を描くことに「病んだ心を癒す心」が秘められているという。ヒーリングアート、これは無機質は病院などに壁画を飾って雰囲気を和らげ病人を癒そうとする試みである。

・作品触れる美術展の開催…目の見えない人でも美術を楽しみたい。そんな要望がある。彫刻、絵画など手から伝わる作品展があればいい。これからノーマライゼーションの実現のもとハンディキャップを持つ方も積極的に美術に鑑賞したいと考えているはずだ。

・陶芸治療…絵画を描くことと同様に陶器を作ることにも「病んだ心を癒す心」が秘められている。ヒーリングアートである。ボランティアででも、生徒たちの作品を癒しの美術に活用できるかもしれない。

・国際交流…美術品を通して世界と学校間交流。

四.学校芸能科への提案事項

・日本文化の海外への普及…日本の文化を国際親善に役立てる。文化芸能は国と国を結ぶ掛橋になる。

・地域の文化の継承…習得した芸能を基礎にして今途絶えつつある地域の文化を後世に伝承してほしい。またそのような人材育成のために活躍してほしい。各地の芸術フェスティバルへの参加、埋もれた地域芸能発掘。

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