1997年1/31(金) 26:30
突然電子日記。きっかけは奥泉光「バナールな現象」である。ワープロで日記を書くにあたって不安のあったのが、データの保持と内容の信頼性であった。つまりボタン一つ停電一回でデータが消えることと、内容を後からでも容易に書きかえられるために本当にその日に書いたものかどうかが判らなくなることである。しかしこの本を読んでそんなことは紙に書いていても同じであることを再認識したのである。小説の方はお得意の複数の層の虚構のからみあいである。「葦と百合」では幻覚、「吾輩は猫である殺人事件」ではタイムスリップと小説、そしてここでは日記と妄想である。このからみあいの論理的な整理は不可能である。そう気付いてから楽しく読めた。ニーチェなどのからみも考えさせられてわりと楽に理解できるのでちょうどよい加減である。
「つぎの岩につづく」R・A・ラファティも読了。古典的だが無邪気に楽しいほら話である。よかったのは「レインバード」「むかしアラネアで」「金の斑入りの目をもつ男」「夢」。
「こどものおもちゃ」の再放送が奈良テレビで始まった。よって金曜の1800〜1900はぶっとおしで「こどちゃ」というクレージーな一時間となった。

2/1(土) 28:03
図書館に行く。**************************。
MSXエミュレーターも動く。ドラクエをK介がする。

2/2(日) 27:44
ニコルソン・ベイカー「もしもし」美事。まず電話の会話だけという手法を、最後までやり通したことに感心。ここまで徹底することは自分の方法論と技術に相当の自信がないとできない。そしてこの作家の場合は実のない自信ではない。David LodgeのThe Art of Fiction「小説の技法」にThe Telephoneという章があり、電話の会話を扱っている。そこで同じ1992年に出たこの作品も取り上げられている。章の頭で引用されている作品は別のもので、それについて電話という新発明による新しい会話の小説中での効果についてデヴィッド・ロッジは書いている。そして`Ultimate Telephone Novel'である「もしもし」はそれ以上に方法論として昇華していると言っていいだろう。また作中の二人は確かに多少変態ではあるが、村上龍の小説よりずっと上品で明るく健康的である。*****************、********************。*********************、********************。******************。***************。それにしても二人の物語の構築能力はすごい。ああいう技術を持てたらいいのに。

2/3(月) 27:53
美学のレポート--三谷幸喜「君となら」について--から書き始める。笑いの分析をやるのなら授業聞いておきたかったな。
「公報きづ」が来て、成人式の写真が載っている。S本T恵は目立つなあ。

2/4(火) 26:09
「新世紀エヴァンゲリオン 第弐十六話 世界の中心でアイを叫んだけもの Take care of yourself.」(完)なんだ。フィルムブックより、シナリオより、全然分かりやすいではないか。こういう観念的なものは文字の方が分かりやすいと思っていたが、これは映像の方が分かりやすいという、これは庵野監督の腕か。つまりおとしめていうことになってしまうかもしれないが流行りのプラス思考か。主体のあり方によって現実はいかようにもとらえられる、そうやって生きていくことが必要なのだ。これは26話だけでいわれていることかもしれないが、それまで描かれてきたシンジはそういう生き方ができていない人間の実例なのである。言葉の一語一語が明快に分かるわけではないがだいたいそういうことでいいと思う。むろんそれ一つだけのものではない。メタフィクションなど他にも見方はいくつもある。そういう点で問題作なのである。完成度は高い。たしかに終わってみるとそれなりに満足するのだが、やはり「あれ?これで終わり?」と思わなくはない。しかしそれを越えて高い完成度が確実にある。
やはりラスト世界にひびが入り、明るい世界がさっと広がるところでは、気恥ずかしくも感じるのだが鳥肌も立ってしまった。また「学園ドラマ編」の部分もいい。そのほかセル画以外のアニメも凝っていて、それらは決して手抜きなどではなく明らかに演出上のものである。手抜きなどという批判は信じられない。
とにかくこんな観念的なものをアニメで見られたことに感動する。小説でもここまでのものはなかなかない。「最初に出会う他人は、母親」などという台詞はフロイト、ラカンあたりを連想させ、ラストの「父にありがとう、母にさようなら」の台詞も考えさせられる。もちろん物語についてもいろいろ考えることができる。素晴らしい。

2/5(水) 28:12
今朝の夢;****、*********。メフィストフェレスと********、*****************。みんなでおばあちゃんの家にいる。*********、*************。*********、**************。***、***************、******、などと考えている。
ただ読む一日。

2/6(木) 23:02
昨日の夜ようやく大阪でも放送が始まった「BLACK OUT Furturity1 DNA」。舞台を近未来に設定して、「X−FILES」よりは理屈の通った話になっている。しかしやはり神秘性を出そうとして理屈が通らない部分もある。「X〜」よりましなだけ。

笠井潔「群衆の悪魔」面白く読んだ。推理小説であるが勿論それ以上に登場人物の考えが面白いのである。ここでは「群衆」に関する考察。勿論これは現代の笠井潔の考察であるから、デュパンに語らせてすごく先見性のあった人物に描くのは狡いと言えば狡いが、そこは小説。おかげで読み易いのだからいいのである。二月革命の勉強にもなるし。有名人をたくさん出してしまうのも、同時代の人物であったことが分かるし、革命時代のパリのイメージとしてとても好きだ。
これについて文芸記号論の松島先生が話をしていたのだが、この本が記号論的読解をしやすいのは、本の中に都市についてやら歴史学社会学についてやらポオの作品やら、作者がたくさん書いているからではないのか。テクストだけによる読解には、テクストの中に複数の要素が作者によって盛り込まれてなければいけないとしたら記号論はいささか不自由な理論であるといわざるを得ない。

28:09
Twinsockで大学に接続して、W辺さんからのメールを読むことはできたが、返事の送信時にはうまく接続できなかった。

2/7(金) 27:46
図書館に行く。「こどちゃ」。

2/8(土) 28:03
I上より、春合宿についてのtel。欠席。
「セーラームーン」(「セーラースターズ」)が終わった。確かに女の子はかわいいし、水戸黄門的パターンの確立という点も面白いが、所詮子供向けである。ギャグに面白いのもあったが白けた方が多い。でも「ムーンライト伝説」は名曲だし絵的にもある種の美的センスは創り上げた。エポックメイキングではあったのか。最後は第一回と同じ台詞で終わらせていた。

2/9(日) 18:51
美学レポート完成。

27:31
3月解散の米米クラブの「ミュージック・フェア」を見る。最高に楽しい。解散は悲しいが、確かに最近は大きなヒットもなかったし、しかしピンでの活躍さらには最結成も楽しみにしよう。米米クラブは最高である。ステージで観客を楽しませる技量が素晴らしい。コミック・バンドという呼び方もできるが、日本語で言う「バンド」などの域は遥かに越えた総合エンターテイメント集団である。サーカスの一座に近い。サミー・デイビス・ジュニアである。華やかである。演奏以外の演出という点では、最近シャ乱Qがなかなかやると思ったが、アイディアだけであって、歌詞から話術から衣装からメイクから踊りからと基本的なもののエンターテイメント性のレベルの高さがある米米クラブには全く及ばない。演奏面でもブラスまで揃えての打ち込みなし生演奏はどうやってもゴージャス!

2/10(月) 28:35
スティーブ・エリクソン「ルビコン・ビーチ」読了。第一部読みにくい。全体小説的にテーマに迫る小説で第一部が読みにくいというのも困りものである。この読みにくさが苦手のマジック・リアリズムも、ここでのそのレベルと効果は認めなくてはなるまい。しかし島田雅彦のような読みも筒井康隆のような読みもできなかった。「ルビコン・ビーチ」という水を境界線にして彼岸にあるアメリカ社会に対する、作者の違和感のようなものが感じられる。またそういうテーマと語り手の幻視という点では「カッコーの巣の上で」を、キャサリンという謎の女性の点では読んではいない「V.」を連想した。つまりオリジナル性の欠如が、とまで言い切ってしまうと何だが。

2/11(火) 24:40
国文学のレポートを書き始める。
28:16
「ヒーローは眠らない」は「黄金バット」。黄金バットは「無敵」である。あまりカタルシスはないが。あと「エヴァ」を連想する設定がある。アトランティスは「エヴァ」には直接は出てこないが「ナディア」で出てくるし、南極大陸からただ一人救出される少女、正義の味方たる主人公のグロテスクな容貌。

2/12(水) 27:58
今朝の夢;高校。K部先生がいる教室。卒業記念に劇をやることになっていて、誰が脚本を書くかを決めている。僕が書いてはどうかとT田が勧めている。対抗にはT部がいる。僕は原作付きかオリジナルか、また実際に書いてみないといいものが書けるかどうか分からない、と言うが、T田がしきりに僕を応援する。;T部の書いた脚本の世界かもしれない。僕たちは何者かに支配されて奴隷となっている。周りは暗黒である。何やら奴隷にされないで隠れている女が何人かいて、そのあたりが脚本っぽい。T田はいない。僕は**のような厨房で働いて、夜寝ていると********************。支配している側は皆このような大男で、僕たちは悲惨な目にあわされている。***********、**********。

「るろうに剣心」の新しいOPが川本真琴らしい。

2/13(木) 23:16
夢;「カッコーの巣の上で」のマクマーフィーのように、何か反抗的なことをしたので精神病棟に送られた。何をしたのかは思い出せないが、マンオケのS浦が会いに来て「謝ったら帰してやるぜ」みたいなことをいうので、「そっちが謝ったら帰ってやるぜ」みたいなことをいう。;女性に頼まれて***************。***************************************。********************。
昨日から続けて陰惨な夢。

スティーブン・ミルハウザー「イン・ザ・ペニー・アーケード」読了。いいね。うまい。前衛の度合いは判断しにくいものである。「アウグスト」のような「架空の偉人」の設定や「雪人間」のほら吹きぶりには間違いなく現代性があるが、文章は丁寧な描写であるし、特に表題作などはあとがきにあるようにロマン主義的である。そういうところでバランスを取りながら面白い、上手いものが書けているのだ。
27:22
今日からレポートの焦りが始まった。そういえば後十日ちょっとである。
28:28
とりあえず国文学レポート完成。

2/14(金) 27:57
起きると何と2時。「ぽっかぽか」最終回を見逃してしまう。まあ話は分かっているからいいのだが。そして母さんと城陽アル・プラザへ行く。

「こどちゃ」現在進行の方の新OPは篠原ともえだ。気違いだ。しかしこうしてみると僕が篠原ともえは育ちの悪い倉田紗南だと評していたのは予言的であった。OPのアニメにも篠原が出ていたようだし、ゲスト出演も時間の問題だろう。

2/15(土) 28:21
図書館に行く。

2/16(日) 27:07
何もなし。

2/17(月) 9:55
電車内でモバイル・ギア初使用中。
26:25
「カッコウはコンピュータに卵を産む」クリフォード・ストール。興味があるので面白く読めた。知識もあるからだろう。サスペンスとしてだけではちょっと僕は読めない。しかし世の中の人もこれを楽しむくらいの知識はこれから持っているべきなのだろう。ネットワーク内の倫理についてはどうあるべきか。筆者はよく考えてあるが、実際はどうか。試行錯誤するしかないのではないか。ダーウィニズム的にネットワーク社会も進化するのではないかと、あるいはそれが理想というかダーウィニズムの一モデルというかになるべき、と思う。

大学ではメールをO黒W辺K岡へ。W辺さんは柴田元幸先生と翻訳の勉強会を持てる運びとなったそうだ。
四条寺町ではモバイル・ギアのケーブルを入手できず。

文学界に筒井康隆「乖離」が載ってる。

2/18(火) 26:35
日本橋へ。散々歩いて苦労してようやくRS−232Cケーブルとアダプタを購入。しかしモバイル・ギアは39800円になっていた。僕は実に買い物が下手だ。あきらめよう。ともあれPCとの接続も成功。一件落着。

「機動戦艦ナデシコ」アニメで錯時法という面白いことをやっていた。記憶のマージャンとかいう部分もいいアイディアだし、アニメ中アニメ「ゲキガンガー」も素晴らしいが、過去のロボット・戦艦アニメのパロディについては具体的にどこがというのは僕には分からない。そういう遊びがあるのはいいのだが、シリアスである本編とうまく整合していない。結果として僕の目から見ると本編の方が浮いている。

僕が昨日ジュンク堂で立ち読みしてきた情報によってようやくK介のドラクエ再発進。

2/19(水) 27:30
K介からtelあり。23日に。K岡がレポートを出してスキーに行ったとかでその東洋史学を今夜写すらしいが、これには出席しない。あとからこのことについてS平からもtel来る。次の日曜、**********************。
「るろうに剣心」の川本真琴は「1/2」。サビとらえにくいが間違いなく川本真琴のドキドキ。ここはJUDY AND MARY「そばかす」の後だしロングヒットになってくれるかなあ。
27:39
たった今、トウ小平氏が死去とのニュース速報!!

2/20(木) 27:05
東洋史学のレポートを完成させ、ついでに日本語学も書く。日本文学はルビの部分がうまくLatexにかからないので明日手書きで清書しよう。ということでレポート終了だ。
******************。

2/21(金) 27:53
レポートを原稿用紙に写すと疲れた。
**********************。その方が僕らしいかな。どこかでトリガーは引かなければいけない。
「EVA」24、5、6を再観したりする。ふん。これからも悩んだらこれやるといいかもな。
「こどちゃ」もいいし、今日は「ビバリーヒルズ」がよかった。以前「素晴らしき哉!人生」のパロディの回があったし、ブレンダかブランドンがそれを観ている場面もあった。この映画の、フランク・キャプラ監督の路線なのだ。古き、という部分は保留するとして、良き、理想の、正しい世界。それを表そうとしている作品なのだ。

2/22(土) 27:21
明日はI平んち。************。

2/23(日) 16:00
**。************。
***
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こんなとこか。
20:35
I平にtelすると、S平もK岡も来ないとのこと。K介は僕が来るならということで、連絡してもらい三人で集まることになる。またこちらの自転車がパンク。I平に直してもらおうと思ったが、修理道具をBOXに置いてあるので今は無理と。******************。***********************。

2/24(月) 14:04
昨日は桃鉄をしていてK介が2時半頃に帰る。その後しばらくしてから寝て10:30に置き、I平と二人乗りでルネへ。自転車はパンクでなくて虫を盗られただけだった。***してOK。飯を食ってI平と別れて帰る車中。
27:27
家に帰ってからも寝るが起きると頭痛い。肩凝りのせいか。明日はI平に東洋史学の本を渡すのと、レポートの提出だ。

2/25(火) 13:50
スティーブン・ミルハウザー「バーナム博物館」読了。基本的にはいいのだが、描写がくどいのが気にかかる。特に「クラシック・コミックス#1」などは前編がそれでひどい。まあリアリズムなのだろうがほとんど斜め読みしてしまうし、それで読めるのだから不必要なのでは。しかし「探偵ゲーム」の自分の行動を繕おうとする格好の悪さや、「セピア色の絵葉書」の店で何も買わないときに感じる申し訳なさなどを描いた部分は共感を呼び、とてもうまい。とにかく小説に対する姿勢はとても素晴らしい。「クラシック〜」もエリオットの詩の漫画化と知らされるとその試みには脱帽である。「アリスは、落ちながら」などのようにテクスト連関が分かっていればもっと楽しめるのだが。「架空の偉人」ものである「幻影師アイゼンハイム」もいい。
27:30
入試のために窓口が閉まっていてレポートは出せなかった。I平に本を渡したのとW辺さんへのメール、そして「究極超人あ〜る」ゆうきまさみを1、2、3とコミックショックで買ってしまった。

2/27(木) 25:56
レポートを提出。ホームページに拡大家族計画のページを作った。モバイル・ギアのDOS化などができることが分かったがソフトは見つからない。コミックショックで「うる星」9、10。9になると今一つ。

2/28(金) 26:54
何もなし。「Ultima」少しする。「こどちゃ」新・運命のシリーズ佳境へ。再放送の方も羽山の母親問題へ。羽山も紗南も暗い境遇なのだ。しかし、「構造は暗く、現場は明るい」のだ。

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