ユダヤ人の肩掛けの意味するもの
マルコ5章に出て来る長血の女について、考えていることを書いてみましょう。この長煩いの女がイエスの衣を触ったら奇跡が起こって病気が治った、なんという不思議な愛の奇跡、という事でこの物語が一件落着するなら、我々はこの聖書の記事を半分も理解していないことになります。
日本語の聖書で衣の端くらいに訳されているものは、ギリシア語では「クラスペドン」とあり、なにやらコイルの様に線維がグルグル巻にされているものと表現されています。実は、これは旧約の民数記15:37で神がイスラエルの人々に着用するように命じられた衣服の肩覆いの隅に垂れ下がる「青色」のふさ(Tzitzit)を現わしています。この青色の線維のふさは8本あり、そのうちの7本に神の名前が5つの結び目にヘブル語表記に従ってコード化されて込められており、"yod" "hey" "vav + hey" ... と並んで YaH-veH となり5つの結び目はまたトーラー(モーセ五書)をも意味しています。Ya-HveHはヘブル語で「父、息子、聖なる霊」の頭文字であり、イスラエル人にしてみるとそれを見たら民数記15のように神を電光石火のように思い起こさせたという訳です。
そこで、マラキの4:2を見て下さい。そこには「神のみ名をおそれるものは、彼の翼の癒しがある」というような日本語になっているでしょう。これだけでは何の事なのかさっぱりわかりません。ここで一歩踏み込んで考えると、「翼」というのは神の栄光の輝きの直射から守る現わす象徴的な翼、SHEKINAH (教会で至聖所の絵を見た事のある人はわかりますね)なのです。しかもヘブル語では「翼」というのは、イスラエル人が肩にかけるTZITZIT(またはTASSEL)と同じ言葉なのです。
だとしたら、このように考えられます。この長血わずらいのヘブルの女は、イエス・キリストを救い主の神の子メシヤであると信じた時に、どうやらこのマラキ4:2を覚えていたので、キリストの肩から掛けていた青色の結び目のついた房を触ったら必ず癒されるという確信を信仰によって持ち、その時の行動に及んだのであろうと言うことです。ということはこの女はユダヤの会堂の集会に出ている敬謙な宗教者であって、シナゴーグで開かれる旧約聖書の巻き物に記述されているみ言葉をマラキの書に至るまで熟知していた知性の高い女性だったのであろうと考えられます。
決して、理由もなく、触ればなんとかなるだろうという漠然とした 動機でキリストの衣に触れようとしたのではないということが、それで理解できるのです。「あなたの信仰があなたを救った」と語られたキリストの言葉は、何と感動的であったかと思います。これは「あなたが信じた通り私はメシヤです」と言ったのと同じ事だったのです。
(この文章はMJニュースからの抄訳)
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