トーラーとは何か
トーラー(Torah)とはヘブル語で「Teaching instruction」という意味です。これは後にギリシャ語で「ノモス」という言葉に訳出され、また「律法」とも訳されています(しかし「律法」というのは必ずしも正確な訳ではありません)。
現行の殆どの日本語の聖書ではこれは「律法」とか「掟」と訳されているであろうと思います。トーラーとは旧約聖書の初めのモーセ五書の事です。一般のキリスト教神学者は、トーラーを指して、「掟」とか「モーセの律法」と呼んでいますが、そういう不正確な名称がつけられた結果、誤解が発生してトーラーの読者は必ずしも、その本来の趣旨と祝福をくみ取れないでいることが多いのです。
「モーセの律法」という言葉はあたかもモーセがこれらの律法を考えて作り出したかのような印象を読者に与えかねませんが、実際はそうではありません。
トーラー には読んでみると、613箇条の律法がありますが、それらには終わりに "Anki YHVH Elohaynu"(私はアドナイあなたの神である)とsignature表記があり、これらの律法のもとは神からであってモーセの創作ではなかった事を証ししています。
また一部の教会では「新約になってイエスキリストによって廃された律法」と「十戒」を区別するために、わざわざモーセの十戒以外のトーラーの律法を「礼典律」という不自然な言葉を用いて言い表わしていますが、こういう語彙の創作は旧約の教えをいよいよ混乱させる結果になっています。そういう風に考えるのではなく、あらゆる神からの教えで神のみ名によって封印されているものは人類に対して一般性をもって与えられたものと単純に考えて良いと思います。
イエス・キリスト(イエシュア)が十字架によって廃された律法というのは、後の時代のイスラエルの神権政治によって無数に定められた宗教政治行政規定の事でありトーラーに与えられた律法ではないことに注意を喚起したいと思います。このようなトーラーに現われた律法は、新訳聖書使徒行伝15:20などにも存在が確認されます。使徒行伝の該当箇所には、"But that we write unto them, that they abstain from pollutions of idols, and from fornication, and from things strangled, and from blood." という聖句がある通りです。
また、ちょうどこの引用箇所の直後に、 "For Moses of old time hath in every city them that preach him, being read in the synagogues every sabbath day." とあり、実はモーセもその当時古代エジプトの時代にそれぞれの町で安息日と掟を守っていたとあり、「モーゼの律法」以前にも戒めが存在していたことを使徒行伝の記者は明らかにしています。事実ノアも「トーラー」の書かれる以前から清い動物と清くない動物の区別を明らかに知っており、それらの知識は当然モーセ以前の人類の歴史に既に啓示されていたことが明らかです。
すなわちこれらの事実は、トーラーに書かれた戒めとは人類にとって何の真新しいことではなく、既に神によってアダムやノアなどに与えられていた戒めの成文化されたものである事を反映しています。さらにトーラーには神によって選ばれた民イスラエルが神をあかしして、イスラエルの民ではない人々とどういう正しい関係にあるべきかをも定めています。したがってトーラーの律法は本質的に今日でも有効であると考えるのです。
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